広島で開催中の日本禁煙学会にて、
広島大学呼吸器内科の岩本教授による特別講演
「喘息・COPDの自然歴から考える―喫煙と呼吸機能低下の予防」
を聴講。
内科医・産業医@東京都です。アラ還の昭和女子で、わりと文具好き。医学論文紹介とかしていきたい・・はずですが、ほとんど雑談かアート・舞台鑑賞の感想など。認知症予防のための忘備録というか。気まぐれ更新のブログです。 お知らせ用HP: https://www.masuko.page/ ※当サイトの記事の一部に、PRが含まれている場合があります
広島で開催中の日本禁煙学会にて、
広島大学呼吸器内科の岩本教授による特別講演
「喘息・COPDの自然歴から考える―喫煙と呼吸機能低下の予防」
を聴講。
いわゆる「コロナ禍」が収束した、とされて数年が経つ。
が、コロナウイルス感染症COVID-19は、なくなったわけではない。
今も外来では、発熱や咳で受診され、検査で「コロナ陽性」になる方が引き続きみられている。
COVID-19の症状としては、上記のような急性の呼吸器症状が多いわけだが、
咳などがおさまっても、コロナウイルスがもっと長期的な影響を心身に及ぼす可能性があることもわかっている。
そのようなコロナ後遺症(Long COVID)の症状の一つとして、
いわゆるブレインフォグbrain fog(集中できない・記憶できないなど、頭の中に霧がかかったようにぼーっとしてしまう症状)を含む認知機能への影響が起こりうることも、すでによく知られている。
では、コロナ感染で、その後の実際の認知症発症リスクは上昇しているのだろうか?
興味深い論文があったが、まだ要旨しか読めていないので、とりあえず要旨のみのご紹介。
Zuraikat FM, et al. Prolonged Short Sleep and Its Effect on Body Weight and Composition : A Pooled Analysis of Randomized Trials. Ann Intern Med. 2026 Jul 7. doi: 10.7326/ANNALS-25-01660. Epub ahead of print. PMID: 42407080.
スタチンは、言わずと知れた高コレステロール血症の治療薬。
脂質異常症を改善し、動脈硬化の進展を抑え、心血管疾患(心筋梗塞など)、脳卒中など各種疾患の発症・進展を予防することを目的として、高齢者でも多く使用されている薬である。
その心血管疾患においては、血圧や喫煙などさまざまなリスクファクターがあるが、その一つに「フレイル(虚弱)」が挙げられている。
しかし、高齢者において、スタチンを用いた治療が、フレイルの予防に関連するかどうかはこれまで明らかになっていない。
ということで、
Sherchan A, et al. (2025) Clinical significance of risk factor analysis in pancreatic cancer by using supervised model of machine learning. Front. Med. 12:1551926. doi: 10.3389/fmed.2025.1551926
何かと言うと、「膵癌を予測するリスク因子」を、機械学習を用いて作ろうとしたという報告。
「デジタル脳腐敗」という言葉がある。
脳の腐敗 Brain rot:2024年、オックスフォード大学の「今年の言葉」に選ばれた言葉。
‘Brain rot’ named Oxford Word of the Year 2024
上記の記事によれば、brain rotは
"取るに足らない、あるいは刺激のない(簡単すぎる)情報(現在では特にオンラインコンテンツ)を過剰に消費した結果として生じる、ひとの精神的または知的状態の悪化"
と定義され、また"そのような悪化につながる可能性のあるもの"も含まれる。
この文脈で最近、話題というか問題となっているのが、こどもとネット動画、特にいわゆるショート動画との関連である。
SNSの「おすすめ」によって次々に流れてくる低品質なショート動画を(受動的に)多く見ていることが、いずれその子どもの脳に悪影響を及ぼすのではないか・・と危惧されているのだ。
Yahoo!ニュース「ショート動画中毒」が深刻すぎる…脳科学が解明した“集中力低下”の恐ろしすぎる正体 1/5(月)
もちろん「脳腐敗」といった言葉は、現時点で医学的に定まった概念ではない。しかし、すでに各国の公的機関からは、未成年者のSNS使用を制限する方向性が打ち出されている。将来的な認知機能や知的活動の低下の可能性を考えれば、我が国でも議論や対策を急ぐべきところであろう。
というところで、こどもとネット動画との関連についての文献を一つご紹介。
健康長寿には、食事(と運動)が大切・・というのは皆わかっているところであるが、
では実際、何を食べたらいいのか?
というのは、人類、というより生物全体にとっての永遠の(?)課題であろう。
ヒトの場合実際には、「健康長寿」よりも"違うコト"を優先して飲み食いしている場合も多いだろうが(私だけか
土曜日が勤務日だったこともあり、この連休はなんだかすぐに過ぎてしまった。
資料を作ったりオンライン研修を聴講したりメール返信をしたり、(ちょっとだけNintendo Switch2をやったり)、本を読んだり、(ちょっとだけNintendo Switch2をやったり、)・・・
などと(だらだら)やっていたのであるが、
お正月休みである。
当然、朝はだらだらする(※個人の感想です)。
・・・そう言えば、
週末の寝だめは高齢者の認知症を予防する、みたいな論文があったよな
と思ってちょっと探してみたところ、いくつかヒットしたのであるが
わりと最近の論文があったのでだらだらと・・いや、かいつまんで読んでみることに。
Zhao B, Zhou S, Chang J, Li A, Geng C, Wei T, Zhao Y, Gao P, Wang Z, Tang Y. Association between weekend recovery sleep and risk of incident dementia: a prospective cohort study in the UK Biobank. J Neurol. 2025 Sep 5;272(9):612. doi: 10.1007/s00415-025-13363-y. PMID: 40911069.
UK Biobankのコホートで、週末の寝だめ(weekend recovery sleep, WRS=週末回復睡眠というのかな) が認知症発症リスクに影響するかどうかを観察した前向き研究である。すごいな。
対象は、UK BIobankに登録された、認知症のない40–79 歳の成人88,592 名。
対象者に、手首式の加速度計を装着してもらい、平日・週末の睡眠時間を測定。
そしてアウトカムとして、新規発症の認知症(アルツハイマー病、血管性認知症などすべての原因による)を医療記録によって判定し、Cox 比例ハザードモデルおよび制限付3次スプラインモデル(RCS)で分析した。(※私に統計のことは聞かないで下さい・・涙)
(本文が読めないので、追跡期間の詳細がわかりません・・・どなたか原文を読めたらご教示下さい)
その結果、
88,592名の対象者(平均[SD]年齢:61.9 [7.9]歳)のうち、735名(0.83%)が認知症を発症 (308名 (0.35%)がアルツハイマー型、137名 (0.15%) が血管性認知症、319名 (0.36%) は非特異的)。
そして、上記のRCSから算出した、それぞれの認知症の発症リスクが最小となる平日の睡眠時間は、
全要因での認知症;約 8.38 時間(HR, 0.73; 95% CI 0.64–0.84)
アルツハイマー病:約 8.33 時間 (HR, 0.72; 95% CI 0.58–0.89)
血管性認知症:約 9.07 時間 (HR, 0.59; 95% CI 0.40–0.88)
であった。
そして、
平日に上記の睡眠時間が確保できない群では、
週末回復睡眠が長いと、認知症の発症リスクが低下したという。
全要因での認知症;HR, 0.801; 95% CI 0.717–0.893
血管性認知症: HR, 0.747; 95% CI 0.612–0.91
しかし、平日に上記の睡眠時間より長く睡眠をとっていた群では、
週末回復睡眠が長いと、非特異的認知症のリスクがむしろ上昇した (HR, 1.291; 95% CI 1.087–1.533)。
ということで、
ふだん睡眠不足気味な人々では、週末の寝だめは認知症リスクを低下させる可能性があるが、
普段から十分寝ている人がさらに週末に寝ていると、認知症リスクを上昇されるかもしれない
という結論になっている。
もちろんこれは観察研究であるので、寝る・寝てない←→認知症 という因果関係を示しているわけではなく、他の行楽因子、もとい交絡因子も考えられる。また手首式の加速度計がどの程度正確に睡眠(量・質)を測定しているか確定できない。
ただ、睡眠は、脳にとってとても大切なメンテナンス時間である。
ひとにはそれぞれ、心身、とくに脳の機能維持のために必要十分な睡眠時間というものがおそらくあり、それが守られないと徐々に綻びが蓄積してくるのかもしれない。
ということで、普段忙しい皆様、今くらいは少しだらだら・・もといゆっくりお過ごし下さい。(週明けに予想される現実からしばし逃避を・・)