CareNetを眺めていたら、「揚げ物はやはり糖尿病や高血圧リスクに」という見出しのニュースがあったので、ざっと読んでみた。
これが原著↓
Duan Y, et al. Fried food consumption-related gut microbiota is associated with obesity, fat distribution, and cardiometabolic diseases: results from 2 large longitudinal cohorts with sibling comparison analyses. Am J Clin Nutr. 2025 Jul 2:S0002-9165(25)00382-X. doi: 10.1016/j.ajcnut.2025.06.025. Epub ahead of print. PMID: 40615083.
要約すると、
中国の2件の大規模コホート研究の参加者(計15,000人程度から、極端な食事摂取、炎症制朝疾患、がん患者などを除いた計10,000人程度)を対象として、
・食事調査による揚げ物の摂取頻度
・糞便の採取による腸内細菌叢の解析
・体組成・肥満、血圧、脂質、糖代謝などの検査データ、疾病の発症状況
との関連を調査した前向き研究。
特に今回、著者らは、揚げ物の摂取頻度と関連する腸内細菌叢、
"揚げ物摂取関連腸内細菌叢指標"(すみません私の適当な訳です)
(FMI:fried food consumption-related microbiota index)
というのを作成したという。いや聞いたことないなと思ったら今回作成したのであったか・・
解析の結果、
揚げ物の摂取頻度が高い人ほど、腸内細菌のβ-ダイバーシティ(=異なるサンプル間で、どのくらい腸内細菌叢の多様性に差があるか)に差がみられ、
特に、25種の腸内細菌属と揚げ物摂取頻度との間に有意な関連が確認されたという。
ということで、上記の25種の腸内細菌をもとに"FMI"を構成し、それがどんなことと関連しているかについて検討したところ、
FMIは、BMI、ウエスト周囲径、また内臓脂肪の指標であるandroid/gynoid脂肪比と正の相関を示し、肥満や中心性脂肪分布と強い関連がみられたという。
さらに、
FMIが高い人は、糖尿病、脂質異常症、高血圧、メタボリック症候群、心血管疾患などの発症リスクが高く、最大で約1.28倍の発症リスク増加が認められた。
遺伝要因や家庭環境の影響を調整するため同胞(兄弟)間での比較も行われたが、結果は同様であった。したがって、揚げ物摂取と腸内環境、生活習慣病の間に、独立した関連があることが示唆された。
ということである。
簡単にまとめれば、
揚げ物摂取が多い→腸内細菌叢の多様性が損なわれる→メタボ・心血管疾患
というリスクがあるかもしれない、ということ。
もちろん観察研究であるし、今回の「揚げ物摂取」は主に頻度(月に何回食べるか)の食事調査からなっていて実情と異なる可能性も否定はできないし、
さらに、どの油が良いとか悪いとか、温度はどうなんだとか、天ぷらとフライと唐揚げの違いはどうなのかとか、ポテトはMサイズでよろしいですかとか、そういうことはここからはまだわからないし、
個人的には一般論として、なんでも腸内細菌のせいだ的な解釈にしてしまいがちな最近の風潮には注意しておきたいと思っているところではあるが、
とりあえず日本人の我々としても、
・揚げ物を食べすぎない
・ふだんからいろいろな食材を食べ、いわゆる「腸活」を
といったふうに、とりあえず心がけておいても良いかと思われる。
いや、でも私も大好きですけどね、揚げ物。
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