坂口幸弘著「人は生きてきたように死んでいく」(光文社文庫,2026)[Amazonリンク]読了。
このタイトルの文言は、私も以前から実感していることである。
もちろん私自身はまだ死んだことがないので、自分が"生きてきたように死んで"いったのかどうか確認したわけではないが、
これまでに病棟などで見聞したり看取ったりした経験から、
死が、その人の人生の集大成、もしくは答え合わせになっているのでは、と感じられる場面に立ち会うことがあったからだ。
もちろん災害や事故などによる急死などではその限りではないが。
ということで、
この本は、タイトルだけ見て興味を持ち、早速読んでみたのだが、
内容はタイトルから想像(想定?)されるものと異なっていた。
著者は「臨床死生学・悲嘆学」を専門とする大学教授。
「ホスピス財団による2023年度の意識調査を中心に、過去の調査データも参照しながら、現代社会における死に対する人々の意識とその背景を明らかにし」(後略)
というのが主な内容となっている。
であるので、
「死をどう考えるか」という部分についての調査報告が多く述べられているのだが、その記載がすべて書き下し文であるところが個人的に少しもやもやした(本書には図表が見当たらない)。
体感として半分くらい(いや、実際にはそんなでもないはずなのだが)統計やアンケートの集計結果の数字、あるいは授業での学生からの回答の記載であるかのようにも感じられた。
また、タイトルにある「生きてきたように」に関連した内容の記述が薄いようにも思った。
死について考えることに、どの人がどう生きてきたかがどう反映されるのか?「生きてきたように死んでいく」というのは具体的にどういうことを指しているのか? 健康な大学生の回答は、「生きてきたように死んで」いく過程にあるひとの死生観にどのように関連するのだろうか?
など、
もう少し先を考えてみたいという読後感であった。
最後の方では著者専門のグリーフケアについて述べられているが、その中で柏木哲夫先生の言葉として、
「(前略)死という現実、それは生の延長線上に死があるのではなくて、人は常に死を背負って生きているということです」
が引用されている。この言葉は印象的であるが、本書のタイトルが読者に想定させるであろう意味合いとは若干方向性が違うような気がする。ここについても少し考察が入っていてもよかったように思う。
死とは?と考えてみたい人、
人は「死」についてどう考えているのかの統計データを把握したい人には参考になると思う。
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