映画「イミテーション・ゲーム/エニグマと天才数学者の秘密」を観た。
言わずと知れた、ベネディクト・カンバーバッチ様主演の、アカデミー賞を始め数々の賞を受賞した2014年の作品である。
第二次世界大戦中、英国の諜報機関で、極秘裏に暗号解読業務に従事した天才数学者、アラン・チューリングの半生を描いた、実話に基づく物語だ。
イミテーション・ゲーム(Amazon Prime Video)
私はこの作品を以前にも観ているのだが、先日、暗号についての本を読んでから(先日のブログ記事)、改めてアラン・チューリングとエニグマについて、この映像を観てみたいと思ったのである。
いやこれね。
やっぱり、改めて名作だと思う。
まずは何と言ってもカンバーバッチ様の演技が鳥肌ものである。
天才数学者、変わり者、同性愛者、最高機密の軍事任務、最高難度の暗号の解読。
こういう、どれ一つとっても常人には想像を絶する運命を一人で背負う人物の、孤高、無頓着、ぎこちなさ、ちょっとしたどもり、そして絶対的な孤独、そんなすべてを、身体のあらゆる表現を通して演じ切っているのだ。
そして彼を取り囲む人々が、変わり者の天才を当初どう扱い、その後どう受け入れていったか、
英国、特にその軍部が、天才集団をどう遇し、どう「秘密」を処理したのか、そのために何を犠牲にしたのか。
いわゆる「前線」の戦いではないところで、市民がどう巻き込まれ、どう生きていったか。
戦時という時代の残酷さ、その中をそれぞれの立場で戦っている人々を、モノクロの歴史的映像、出演者の緻密な演技、当時の風景や調度品などのリアルな再現を通して、見事に描いていると思う。
チューリングという人は、今の「コンピュータ」の概念をすでに考えていたということが知られている。
時代は彼にとって早すぎた。
最後は彼にとって悲劇的な結末にはなるのだが(なお、後年、英国は彼の功績と不当な処分を認め、女王の名で恩赦を与えている)、
彼(もしくはチーム)の成功には天才ばかりが関わっていたのではないこと、
そして、この先の時代を作るのは生きている者に託された任務であること、
などのメッセージを受け取ったように感じる。
過度の暴力や性表現などはない作品。
できれば、「エニグマ」についての予備知識を少し入れてから観るのがお勧めかも。
以前の記事でも書いたこの本はわかりやすいと思う(とりあえずエニグマについてであれば、上巻だけで大丈夫)。
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