2025年3月1日土曜日

【recri】「ポルノグラフィ/レイジ」@シアタートラム

久しぶりに、三軒茶屋シアタートラム。

サイモン・スティーブンスの戯曲のダブルビル。

「ポルノグラフィ」と「レイジ」を観てきた。

例によって、recri (特典付き入会リンク) からのいくつかの提案演目から選んだもの。

あまり演劇に詳しくない私。少しは予習してから観ようかとも思ったが、

昨日までめちゃくちゃ忙しかったこともあり、今回は(今回も?)、基礎知識を何も持たない状態での観劇となった。

三軒茶屋到着。狭い入り口からシアターへ。

座席について周りを見まわし、今日はわりと空席もあるのかなと思っていたら、開演2分前くらいにほぼ満席になった。



最初は「ポルノグラフィ」。

2005年7月のロンドンが舞台。

2012年のオリンピックの開催地がロンドンに決定し、街が湧き上がっているその最中、
地下鉄とバスでの連続爆破テロ事件が起こる。

本作は、そのテロの前後を生きるロンドンの「普通の」人々(その中には、テロ実行犯も含まれる)を、オムニバスで描く作品。
舞台や照明は非常にシンプルだが(舞台を座席がコの字型に取り囲むスタイル)、
「地下」を表す奈落が効果的に使われている。

そして、暗い舞台を横切る「黄色い線」の鮮やかさ。

年代も背景も(人種も階層も)さまざまな人々が、ロンドンを一時的に機能停止させたテロ事件にどのように巻き込まれたか(あるいは巻き込まれなかったか)を描く中、

相手や家族との関係性、自分の存在感と孤独、そして続いていく未来、といったことが会話やモノローグで綴られていく。

どの演技者の方も素晴らしかったが(一部、ちょっとセリフが速すぎるのではと思ったところもあったが)

個人的に圧巻だったのはやはり亀田佳明さんの「実行犯」。
これはぜひ舞台で、生で観て下さい。

ここまでで約2時間。

休憩を挟んで「レイジ」。

「ポルノグラフィ」の2005年から10年ほど経った2015年、
大晦日のマンチェスター。

日本のいわゆる「ゆく年くる年」的な過ごし方とは違い、
酒を飲み、情事にひたり、路上で寝込み、タクシーで嘔吐する人々、
そしてその対応に走り回り、雑談をしながら、時に(もしくはしばしば)暴力的に「取り締まる」警察官たち。

そんな光景を、1幕と同じ俳優が、1幕とは別の人間たちとなって、
舞台を文字通り縦横無尽に動き回る演出。

本来はまったく別の戯曲であるこの2つをダブルビルとして公演することで、

1幕と2幕との関係性、時代の連続性といったものが示唆されることになり、

共通して用いられている舞台上の「黄色い線」が意味を持ってくるように思われた。


ただ、個人的にはこの「レイジ」にはあまり入り込めなかった。
多くの役柄があり、同じ俳優が基本的に同じ衣装で続けて演じ、
またあまりにも動き回るため(舞台上はもちろん客席も通路も)、視覚的にも人物設定的にも、ついていくのがなかなか難しい。
(前方の座席の観客の方々は、もろもろ相当近かったと思うがどうだったんだろうか)

加えて個人的には、
あんな高所は危ないんじゃないかとか、転倒リスクがあるんじゃないかとか、
そのセリフの状況が本当なら直ちに治療しないとまずいじゃないかとか、
余計な心配やストレスを感じてしまったためもあるかもしれない。って職業病か。


「レイジ」の公演時間は約1時間。

終演後の拍手や表情の感じからして、多分同じように「??」な感じの方もいらしたのではないかと(邪推
ダブルビルでなくても・・・と思った人もいるのではないかなぁ。


・・ではあるが、観劇後「おなかにたまる」2作であった。

その当時のロンドンの空気感を、おそらくは追体験させてもらったのだと思う。



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