連休ということでそのへんを片付けていたら、昔買って放置していた本を発掘。
古賀太著:「美術展の不都合な真実」新潮新著(2020)
ということでざっくり読んでみた。
読後感としては、
えっ!? そうなんだ!? というよりは、
まあそうなんだろうな(そうだったんだろうな)
という感じ。
目次より、各章のタイトルはこのようになっている。
第1章 混雑ぶりは「世界レベル」の日本式展覧会
第2章 なぜ「○○美術館展」が多いのか
第3章 入場料1700円の予算構造
第4章 明治以降の展覧会と平成型展覧会
第5章 ミュージアムとは何か
第6章 学芸員の仕事と「画壇」の存在
第7章 本当に足を運ぶべき美術館はどこか
第8章 スペクタクル化する展覧会
著者の古賀氏は、九州大学文学部卒業後、国際交流基金・朝日新聞社で美術展の営業や企画に携わった後、2009年から日本大学芸術学部教授。ということで、本書の中にはいかにも昭和的な「仕事」「接待」なども書かれているが、そういう時代もあったんだなあ・・・と、もはや昔話の世界のよう。
おそらくコロナ禍を経て、令和となって、デジタルツールやSNS、AIが進化して、
美術展を取り巻く状況はこの本よりさらに変化しているはずである。
新聞社やテレビ局の(経済的な)余力も違っているであろう。
著者の言う「不都合な真実」が、そういった「マスコミ頼り」の企画や実施であるとするならば、それはもう否応なく変化していくものなのだと思う。
個人的には、確かに「○○美術館展」は人を呼べるのだろうが、これからはできれば海外から何度も同じような絵(!)を招聘するばかりではなく、日本から、これからのアートを発信するような企画、新たな芸術的試みに力を尽くしている日本人の若手アーティストの発掘やサポート、そしてそこに集客でき経営的にサステナブルにやっていける複合的な企画、難しいであろうがそういったことを可能な限り「協賛」していただきたいし、見る側としても支えていきたいと思っている。
美術館グッズについても取り上げられていたが、もう少し深堀りした話が聞いてみたいな。あれの手数料収入は大きいらしい。でもキャッシュレス、ペーパーレス、郵便取扱量減少の昨今、商品展開として今後どうするのが得策なのか。マグカップとかも個人的には美術展ごとに毎回買おうとは思わないしな(汗
さらに個人的には、「画壇」についての記載が「よくそれを書いて下さった・・」という感じで面白かった。
"「画壇:とは日展を頂点に、院展、二科会、二紀会、春陽会などの戦前からある美術団体が形成する日本特有の美術業界である。"
"画壇の作品は、刻々と変化してゆく世界の現代美術の流れから見たら、技法も内容も保守的なために評価の対象にならない。"(本文より引用)
などなど(コメントは控えます)
ちなみに、連休ということでそのへんを片付けていた・・はずだったんであるが、
文献を散らかしただけで終わりました(涙
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