「新型タバコの本当のリスク」読了。
昨年、日本禁煙学会の講演で紹介されていた本。この問題を専門として情報発信して下さっている田淵先生の著書。
我々にとっては知識のまとめ的な一冊(ただし2019年出版なので少し古いため、これをもとに情報を更新していきたい)だが、
「新型たばこの人体実験が、今、日本で進行中!?」という帯コピーはなかなか刺激的(その通りだと思うが)。
我々も健診などをやっていて、
「たばこは止めました」
「おお、素晴らしいですね」
「紙たばこは良くないらしいので、プルームテックに変えました」
「そ、それは・・・」
というようなことがよくあるのではないだろうか。
それとか、
「たばこは吸っていません」という方が、診察室に入ってくると体中からめちゃくちゃ(人工的な臭いが)匂ったり(あれって、しばらく匂いがとれないので大変です・・ご本人は気づいていないのだろうか?)
どうも、「タバコ=火をつけて煙が出るもの」というイメージが強いらしく、それ以外のものは害が少ない、言わなくてもいい、と捉えられていることが多いように思う。
あるいは、「紙たばこに比べれば害が少ないんだから、ハームリダクション(やむを得ず、少しでも害の少ない方を選ぶ)として、加熱式たばこや電子タバコはありでしょう」という議論なのか。
確かに日本では、電子タバコについては(公式には)ニコチン入りのものは販売されていないので、ハームリダクションについての議論を注視していくべきであろう。ただしニコチン非含有であっても、電子タバコは少なくとも細胞レベルにおいて炎症性ダメージを加えることが報告されているし(
加熱式たばこの方はもちろん多数の有害物質を含んでいるわけで(紙巻きたばこに比べて有害物質が少ないと宣伝されているが、それは一部の物質についてのみ)、
どちらについても、長期間の使用で人体に与える総合的な影響についてはまだよくわかっていない(だから冒頭にあるように"人体実験"と言われるわけである)。
「詳細がわからないものを口腔から気管の奥深くまで習慣的に吸い込む」という行為、およびそれによる二次喫煙・三次喫煙を生じさせることは、好ましいものではないと思う。
著者が書くように、
ここで重要な観点の1つは、タバコを吸う人がタバコの一番の被害者であるということだ。(以上、本文から引用)
ということを忘れてはならないのである。
今後も情報に注視していきたい。
※禁煙指導に興味のある管理栄養士・栄養士の皆様、このブログのリンク集からリンクしている日本禁煙学会の「食と栄養部会」にぜひご参加下さい!!
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