コロナが5類感染症になって、アクリル板がなくなったり、トイレのハンドドライヤーが再稼働してたり(ただこれについては、節電のため、まだ止めてあるところも結構あると思うけれども)いろいろ変わったことがあるけれど、
その中に、トイレの便座の蓋問題(?)というのがあるかもしれない。
コロナ禍でよくトイレのドアあたりに貼られていた掲示に、こういうものはなかっただろうか。
「感染予防のため、トイレは蓋を閉めてから水を流してください」
これに関連して、最近、こういう論文が出ていたようだ。
ケアネットの2月23日付ニュースから紹介。
便器の蓋を閉めて水を流してもウイルス粒子の飛散量は変わらない[CareNet]
"便器の蓋を閉めてから水を流すと、水を流したときに発生するミストを便器内にとどめておくことができるため、細菌の拡散を防ぐことができると言われている。しかし、ウイルスの場合には、蓋を開けたまま水を流すか閉めてから流すかで、水を流している間のウイルス粒子の飛散量に変わりはないことが新たな研究で明らかにされた。米アリゾナ大学環境科学部ウイルス学分野教授のCharles Gerba氏らによるこの研究結果は、「American Journal of Infection Control」2月号に掲載された。"(以上引用)
微生物のエアロゾル感染に関して、
細菌については、トイレの水を流す前に便器の蓋を閉めておいた方が感染リスクが減らせるという報告(もとの論文を見ると、クロストリジウムやセラチアなんかで実験が行われたらしい)があるが、
細菌よりずっと小さいウイルスに関してはどうなのか?ということで、
今回、
人体に無害なウイルスを家庭用トイレ(タンクあり)と公共トイレ(オフィスビルのトイレ;タンクレス)の便器(家庭用トイレと公共トイレでは水流が異なる、といったことも議論されていた)にまき、
便器の中の水(水道水)にウイルスがいないことを確認した後に、人体に無害なウイルス(ファージ)を便器に加え、それから便器の蓋を閉めた状態と開けた状態とでトイレの水を流し、
1分待ってから、
便器の水や、トイレの壁や床の表面サンプル(拭き取ったもの)を採取し、それぞれにおいて検出されるウイルス量はどれほどであったのか測定した、という実験。
論文の図を見ると、ウイルス量の推定のため、いわゆる洋式トイレの便座の周辺の壁(横と後面)、床(3か所)からサンプリングしたようである。
その結果、
トイレの蓋が開いていたか閉められていたかに関わらず、便器周囲に飛散したウイルスの量に差はなかった。
(ただし論文では、便器の蓋の開閉により、エアロゾル発生の方向はやや違っていた(ただし再現性に乏しかった)としている。蓋が閉まっていると便器の横方向へ、開いていると上方向や床へ。そして"便座は、水を流した後にもっとも汚染された表面であった”という)
ということで、表題のように、便器の蓋を閉めてから水を流すことは、トイレ内でのウイルス汚染のリスクを減らすことにならないという結論になった。
なお、トイレ掃除の際に、塩酸配合の洗剤(クリーナー)を使ってブラシで清掃すると、洗剤を使わなかった場合と比べて便器内の水のウイルス量が99.99%減ったそうだ。
その「実験に使ったクリーナー」って何?と思ってみたら、これのようだ↓↓
アメリカの家庭用の普通のクリーナー・・なんだるうか。
しかし、良く見たら論文著者の一部が、このクリーナーの会社と利益相反ありと書いてあった(!)のでそこは確認しておきたい。
ということで、
「研究グループは、トイレ内での感染リスクを下げる最も効果的な方法は、水を流す前に便器の中に消毒剤を入れるか、トイレのタンク内にあらかじめ消毒剤ディスペンサーを入れておくことだと助言している」(以上引用)。
・・というまとめになっていた。
原文はこちら。
しかし、
日本のトイレだと、ウォシュ〇ットの水流とか脱臭機能とかあって、なおさらエアロゾルの浮遊の仕方が複雑になるのだろうか。和式はどうなるのか。あと、床にトイレマットがあったら水を流すごとに何か飛散していることになりそうで、まめに洗わないと・・・
いずれにしても、
細菌感染、ウイルス感染、みんな違って、みんなヤバ(違う
トイレで病原微生物に感染することもありうる、ということは、コロナ禍だろうがそうでなかろうがいつも考えておき、少なくともトイレは皆できれいに使うように心がけ、トイレ後は必ず!!手を洗いましょう。
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