2023年10月1日日曜日

「修道女アンジェリカ」「子どもと魔法」ダブルビル

新国立劇場の2023/2024オペラシーズンの幕開け、プッチーニの「修道女アンジェリカ」とラヴェルの「子どもと魔法」のダブルビルを観てきた。演出:粟国淳。

今日は手荷物検査があるとは聞いていたが、ホワイエでもスタッフの皆様による警備が目につき、また場内ではサイドの座席に報道陣のカメラがいくつも。どなたがみえるのかと思っていたら、秋篠宮ご夫妻がご観覧されます・・というアナウンスが。ただ、私は例によってお安い上層階の席にいたので、VIPのお姿を目にすることはないのであった。

今日は初日の公演。文化庁芸術祭オープニングということで、文化庁長官の都倉俊一氏が、開演前に日本語と英語で挨拶。(聞いていて『オープニングの開幕』というのは意味的にどうなのかと若干つっこみたくなったが、それはそれで)

両方とも私は初見であったが、大変意欲的な作品でとても楽しめた。

「修道女アンジェリカ」は、「17世紀末イタリアの女子修道院」での話なので、舞台には女性しか登場しない、珍しいオペラ。
祈りと奉仕に明け暮れる、質素な修道院での生活の中にも、季節があり、一人一人の思いがあることを伝える冒頭部分。
そんなある日、アンジェリカの伯母である公爵夫人が修道院に面会に現れ、アンジェリカに遺産の相続権を放棄するよう要求する。
実は、アンジェリカは以前に、未婚で子どもを産んだために修道院に送られ、修道女になったのである。
7年間離れている息子に会いたい、どんな子なのか、どんな顔なのか教えてほしい・・・と切々と歌うアンジェリカ。しかしそれに対して公爵夫人は冷たい表情を崩さずに、息子は2年前に重い病を得て・・・と伝える。

息子の死を知り、倒れこむアンジェリカ。その姿を見つめる公爵夫人は、アンジェリカに手を伸ばすのであるが・・・

本日、主役のアンジェリカを演じたのはキアーラ・イゾットンさん。圧巻の声量と表現力。
そして公爵夫人の齊藤純子さん、そのほか修道院長や修道女長はじめ、修道女の皆様の声は一糸乱れぬ感じの柔らかさで、聖堂に響き、聖母マリアの救いが下りてくるよう。

最後はどんな形で"聖母が出現"するのかと思っていたら、・・・そうきたか!!と。

質実剛健でいてあますところなく「修道院の世界」を表現している舞台装置(美術:横田あつみ)と、表情を照らし出す(あるいはあえて暗転する)照明(照明:大島祐夫)、それに衣装もオケも素晴らしかった。

「子どもと魔法」は、

一転して、これぞラヴェル!!という軽やかさ。
宿題の進まない子どもがママに怒られ、まわりのものに当たり散らすと、そこにあった椅子やら時計、ティーポットやら火やら・・・が動いて話し始め、庭ではいろいろな動物たちが・・・

という話を読んで、これをどうやって「オペラ」にするのかと思っていたら、

ちゃんと、そのまんまオペラになっているので驚きである。「算数」とかも登場したし。どうなっているのかは、ぜひ作品を鑑賞していただければ。
楽しいダンスも見られたし、こどもたちの歌も良かった。
主役の子どもはクロエ・ブリオさん。この役を世界中で演じているという。さすが、円熟した「子ども」の表現。オケも引き続き良い。管楽器の安定した響き。

「子ども」というキーワードをはさんだダブルビル、この並びはなかなか良かった。上演時間も短めなので、機会があれば鑑賞をお勧め。

新国立劇場オペラパレスでは、今季からブッフェも完全再開。私もちょこっとだけ、ワインをいただいたりしたのであった。


 

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