久しぶりに、映画館で映画を観た。チケットのサブスクrecriからのお勧めとして送られてきたチケットで。
「個」を繊細に描きながら、そこには輻輳する家族の物語があり、観るものが自然とどこかで自分と重ね合わせるような、フランスらしい映画であった。
姉は舞台女優、弟は作家。(この家族にはもう一人、弟がいる)
ともに有名で人気のある二人は、いつからか互いに話をしたくないどころか顔も合わせたくないほど嫌い合うことに。
しかし、その二人の両親が事故に遭って入院したために、姉と弟はついに「再会」することになる。
ここには、いくつもの「家族」が描かれている。
主人公の姉と弟が生まれ育った「実家」。
姉の「家族」、弟の「家族」。
両親が事故に遭うきっかけとなった女性にも、女優のファンの女性にも、弟の友人にも、
そこにはそれぞれの家族やパートナーがあり、宗教があり、愛情だけではないさまざまな感情が行き交う。
姉と弟の仲違いも、愛情や尊敬が変性したものであるようだ。
両親の容体とともに、登場人物それぞれの感情が動揺し、散らばっていくようで、最後にはそれぞれの「場所」へと収束していく。
フランスの日常を普段着の情景で描きながらも、映画の舞台装置は細やかに過去と現在を繋ぎ、現実の中に非現実がほの見える部分もあり、そして「この先」の展望をゆるやかに暗示しているようだ。
監督が使う「視線」の表現は、収束と再生の物語を観るものに直接話しかけてくる。
脚本や演技も素晴らしい。観た後、自分の中で何かを揺り動かされるような映画であった。
ちなみに、映画館で終演後「泣けたよねー」「ちょっと泣いてる人いたよ」と話している観客あり。確かに。
しかし医療従事者目線で見ると、別の意味で泣けるというかハラハラしすぎるというか、
これはない!!! これはいかんよな!!!!となる場面が多々あり…(汗)まあそこはファンタジーということでな。
PG12ですが、明らかな暴力やあからさまな性描写はなかったです。(ちょっとそれっぽいのはあるかな、程度)
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