今日は論文に関わる判定業務を二つ行った。
一つはaccept(受理)とし、他方はreject(掲載拒否)をrecommendした。
いずれも、インパクトファクターがそれなりにあるjournalの仕事であったので、最後に「ポチっ」と判定を確定する時には、(小心者で繊細な私は)(←異議は認めません)少しだけ緊張した。
論文の査読や編集に関わる作業。
時間もかかるし頭も使うけれども、引き受けたから、あるいは業務を完了したからと言って、何か報酬をもらうわけではない。ただ働きである。(このご時勢、全体に何か少しくらいのインセンティブがあってもいいのではないかと思うが)
専門性の高い業務ではあるが、基本的に、誰がその論文に関する査読をしたかはほぼ表に出ないので(最近はオープンにするjournalもあるけれども)、報われることはほとんどない・・と思う。
しかし、世の中に出回る根拠のないデマや都市伝説などと明らかに異なるのが、この査読過程の存在なのである。
専門の研究者や研究チームがあらゆる角度から研究を行い、紆余曲折を経て得たデータとその解析、解釈を時には数年がかりで論文にまとめ、専門誌(英文国際誌)に投稿する。
それを編集者がチェックし、査読に値するとなれば、その領域の専門分野を理解できる査読者複数が内容を吟味し、誌上での(何回かの)discussionを経て、
ある論文は内容不十分で掲載不可となり、
一部は認められてacceptとなり、ようやく論文が発表され、そしてそれを世界中にいる研究者が読み批判し、また次へつながっていく。
そのサイクルが医療を、科学を前に進めていくのだ。
であるから、「政府や●●機関や医師は知らないか隠していることを私は知っている」系の話は、荒唐無稽のデマだと思って間違いない。ということを一般の方はご存じないようで、そういう話の方が往々にして「真実」として扱われ、医療関係者が罵倒されたりしていることもあるので、
日々、世界中で論文を書き、読み、議論している我々は、黙して目の前の研究を粛々と進めていくしかないし、
今日も世界中で議論しながら研究は進んでいくのである。
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