先週、久しぶりにバレエを観に行ったのであった。
新国立劇場バレエ団で、吉田都さんによる新制作「ジゼル」。
公式サイトの説明によれば、
"英国ロイヤルバレエで長らく活躍したイギリス人振付家のアラスター・マリオットとともに、19世紀ロマンティック・バレエ不朽の名作を新しく生まれ変わらせます。リトアニアの「十字架の丘」に着想を得て、キリスト教と土着の文化の狭間にある世界観を表現したディック・バードの美術も大きな見どころです"。
とある。
仕事の都合で、キャストを見て日程を選ぶ余裕はなかったが、行ける日のジゼルは、ひそかに(?)今一番推している木村優里さん。木村さんのジゼル!! それに、リトアニアのインスピレーションの舞台美術!!
これは観に行くしかないではないか。
ということで、仕事を終えてからいそいそと初台へ。
開幕。座席は満席に近いと思われ、みなマスク着用しながらも静かな期待のエネルギーが客席に流れている。
舞台は中世ドイツの村。抑えた色彩で、一幕では収穫祭の村、二幕では夜の墓場が眼前に現れる。まさにハロウィーンの時季に合った公演。
ジゼルの木村さんは、
まばたきも、指の動きも、ジゼルそのものだった。
1幕は純粋な村娘、恋をして敗れ、狂乱の果てに息絶える。花占いのしぐさの一つ一つもこまやか。
そして2幕は精霊ウィリ。墓場から出てくるジゼル、もはや表情も死者そのもの。いやこれ、体重が感じられない。あってもきっと30gだと思いながら観ていたのであった。
アルブレヒト王子。婚約者がいながら、体の弱い村娘にちょっかいを出しているわけなので、やらかしてることはクズ(!?)なのだが、さすがのプリンシパル、福岡雄大さんの王子は高貴なオーラがあり、墓参りに訪れる場面では誠意が滲み出ていて、まあその、王子様許せるわ、という感じ(?)であった。
その他、ヒラリオン、ミルタ、ベルタ、ペザントの皆様など、とても素晴らしい舞台で、終焉後は観客は立ち上がって拍手を送っていた。
ところで、私はなぜ、「体重30g」とか思ったのかと考えてみたら、以前に
「ヒトの霊魂の重さ」
という話があったような気がして、どれだったかとちょっと調べてみたところ、これだなと思ったのがこの記事の内容である。
ディスカバリーチャンネル:人が死ぬと体から消失するという「21グラム」は本当に魂の重さなのか
ヒトが亡くなる前後で重量を測り、死後に21g減少していた、だから霊魂が21g・・という報告である。
が、実はこれ、その後の実験(?)で再現性が取れず、否定されているようだ。まあ、さもありなんという感じである。誤差範囲だろうしね。
人は死ぬと、しばらくは病室などその場の「天井」にいて、悲しむ家族を上から見つめている・・のかもしれないし、その後「千の風になる」のかもしれない。その"重さ"は現実世界の測定器ではきっと測れないだろうなあ、とは思う。
ともあれ、圧巻のバレエ・ブランであった。
上質で美しいものを見れば心が癒され、明日の活力になる・・と先日ある方がおっしゃって、豪華な花束の写真を見せて下さった。疲れていたように見えたのかな私。でも、本当にその花の写真は、心をゆるめる効果を持っていた。
キャストやスタッフが総力で作り上げた、愛と死、精霊の芸術を見ることができたので、私も少し長く、命を輝かせる時間を持てるかもしれない。死から生をいただく感じである。
ともあれ、お疲れさまでした。
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