2022年6月8日水曜日

やせるために命をかける?

今日のニュース。

【神戸新聞NEXT】ネットで販売「やせるゼリー」で健康被害 頭痛やめまい…非承認の医薬品検出 西宮

"兵庫県西宮市保健所は7日、ダイエット用食品として販売されたゼリーを食べた市民から健康被害の届け出があり、国内で承認されていない医薬品成分「シブトラミン」が検出されたと発表した。厚生労働省の通知に基づき、製品名を公表した。インターネット上で健康被害の訴えが相次いでいた。"(以上引用)

製名品は「Detoxeret ゼリー」とのこと。

成分の「シブトラミン」。

これ、厚生労働省のサイトでちょっと見れば、以前から繰り返し繰り返し、健康被害の情報が出ている、いわゆる「やせ薬」。成分としては抗うつ薬(セロトニン・ノルアドレナリン再取り込み抑制薬)と同様で(ただし抗うつ作用はない)、中枢神経系に作用し、食欲を抑えるとされる。

しかし血圧上昇、心拍数増加、痙攣、不整脈、精神症状など多彩な副作用が報告されている。

特に心血管疾患のリスクが高く、中には致死的な報告もあることなどから、欧米では2010年までに任意回収、製造販売中止となっている。

シブトラミンによる心突然死の症例(基礎疾患のない女性の突然死)

Case Rep Cardiol. 2021; 2021: 8896932.

それでも、違法に製造されたものが、個人輸入により出回っているということなのか。

日本では未承認薬なので、自己責任で飲んで健康被害が出たとしても、国の「副作用被害救済制度」は適用されない。

やせたいという気持ちはわかるけれども、そして実際に「肥満症」の患者さんであれば、減量のためにさまざまなサポートをしたいと思うけれども、

単に美容目的などのために、中に何が含まれているかわからない外国の薬や食品をどこからか買って飲み食いするリスクをとるのはやはり危ないし、患者さんに聞かれたら止めるだろう。もしかしたら、取り返しのつかないことになるかもしれない、ということを、「やせ薬」を買う人は少し頭の片隅に置いていただければ。

というより、健康的にやせることに王道なし。

毎日の食事(と間食)、運動、生活習慣の積み重ね。

過剰にならず、少なすぎず、バランスを取って少しずつ。

これが最も安全で健康的に、そしてお金をかけずに体重をコントロールする、地味だけど安全なやり方なのだと思う。

(世の中には、お金を取って"やせ薬"を売っている店や医療機関(怒)もありますが、それが本当に身体にとって長期的にメリットだけがあることなのか、その金額はどうなのか、わからなくなったら、そういうものを"売って"いない医療機関で相談してみるのもよいかもしれません)




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