2025年10月18日土曜日

正倉院 THE SHOW東京展@上野

上野の森美術館で開催中の「正倉院 THE SHOW」へ。


着いてみると案の定、チケット売り場は長蛇の列。
私は前売り券を持っていたのでスムーズに入れてラッキー。


今回の展示は、正倉院宝物の現物ではなく、再現したものと映像の展示。

とは言え、厳密な考証に沿って再現されたもの("再現模造")なので、どれも見応えがある。

展示最初の、聖武天皇と光明皇后についての記載のところで胸が熱くなる・・

奈良時代の熾烈な、というか血で血を洗うような政争(以前に書いた記事)
その中で、聖武天皇と光明皇后が当時、仏教を支えに人民の安寧をと、真に願っていたのだろうなということが、
例えば大仏開眼会に関連する展示品などからも感じられる。





圧巻なのは、正倉院宝物を大迫力の3d映像で展開する「超高精細映像」。
スマホで動画を撮っている人もいたが、これはぜひ、大スクリーンで没入して見ていただきたたいなと。

こちらは正倉院宝庫の勅封の扉の模造。
天皇の許可なしには開かない扉。
これの開閉の儀式の映像が(自分には縁のない皇室文化として)、とても興味深かった。
この儀式が、1,300年にもわたり、繰り返されているのかと。


そしてそして、

個人的に今回の展示の最大のポイントであった「蘭奢待の香り再現」!!

こちらが黄熟香(蘭奢待)(再現)。
大河ドラマ「麒麟がくる」の染谷将太演じる信長を思い出さずにはいられない。


もちろん解説にもそのコメントが。


そしてこちらが、化学分析にもとづいて再現された「蘭奢待の香り」の体験コーナー。

いざ!聞かむ!!


・・・甘い。
そして、評判通り、南国風のスパイシーな、かつ上品な香り。

参考↓

ほのかに、どこかで書いだことのある香りかと思った。特にエンドノートに。
思い出せないのだけれど。遠い記憶。

そしてこちらが、
"色も柄も多種多様な宝物の文様を壁から天井まで敷き詰めた通路「美のアベニュー」"(公式サイトより)。
美しい。


他にも模造品の展示や、「現代のアーティストによるコラボ」の作品などがあったが、混雑していたしコラボ・・の方はまあいいかと思って退出。

ショップも大混雑。
一応一通り見てみたが、今回は特に購入せず。「蘭奢待香りシート」はどうしようかと思ったのだけれども、レジも長蛇の列だったのでやめた。
(毎回思うのだが上野の森美術館のショップは並びすぎる・・)

ということで、次の予定へ。
そうです。実はこちらが、個人的に今回のメインイベント。

正倉院 THE SHOWの関連イベント、

「科学で紐解く正倉院~蘭奢待の香り再現プロジェクトを語る~」スペシャルトークイベント

に申し込んでいたのであった!

美術館の隣にある日本芸術院会館へ。
早めについたのに、すでにこちらも長蛇の列だった。皆様出動が早い!!


満員の聴衆の中、

宮内庁正倉院事務所保存課長の中村 力也さん、
京都大学名誉教授の高部 圭司さん、
高砂香料工業株式会社研究開発本部専任研究員の菅原 俊二さん

という、錚々たるメンバーによるトークイベント。

ちょっと期待していた、化学分析による抽出や合成についてのガチなエピソード・・

は聞けなかったが(以前NHKで見たのと大体同じ内容)

そもそも正倉院とは、といった話から、
樹木の視点で見る蘭奢待や正倉院、
そして香りとは?という議論まで、

とてもエキサイティングで、目が開かれる感じであった。
学びたい!と思った。

蘭奢待は8〜9世紀の樹木であったと想定されるらしいが、どこでどのように生息し、それがどのように奈良に運ばれるに至ったのかなどは今も謎だそう。

1,000年を超える時間の経過があっても当時の文化を知ることができ、さらには体験することもできようとしていることを、そても壮大に感じるし、文化を知り伝えることの重い価値を再認識する。


あと皆様、
家を建てるときには、法隆寺を見習って、しっかりした「軒」をつけておきましょうね(実感


正倉院については、毎年秋の正倉院展(こちらは本物の宝物の展示)のほか、来月には正倉の特別公開も行われるようですので、奈良に行かれる方はぜひ↓


 

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