「ジュースクレンズ」という言葉を、
恥ずかしながら私はこれまで聞いたことがなく、知らなかった。
何だこれ?と思ったのは、CareNetでこのニュースを見たから↓
[CareNet] ジュースクレンズはたった3日間でも有害な可能性
この記事によれば、まずジュースクレンズについては、
"一定期間、固形物を取らずにジュースのみで必要な栄養素を補うジュースクレンズは、ファスティングの一種であり、健康的な生活を始める第一歩として多くの人に取り入れられている。"(以上引用)
とある。
「健康的な生活を始める第一歩」って? まあツッコまないでおくか・・・
要するにジュースクレンズって、単なる絶食じゃなくて、何かちょっとおなかに入れたいという時にやるやつ?(浅い理解
・・・ということで、とりあえず原文を見てみることに。
Sardaro MLS, et al. Effects of Vegetable and Fruit Juicing on Gut and Oral Microbiome Composition. Nutrients. 2025 Jan 27;17(3):458.
・・・なんだ、
記事のタイトルに「有害」とかあるから、えっ?どんな?とか思ったのであるが、
この研究(実験)は、あくまでも「ジュースのみと、それ以外の場合」とで、腸内と口腔内の細菌叢を比較してみた、というもの。
被験者は健康な18-35歳。最終的に実験を完遂した被験者は14名。試験期間は3日間・・というから、まあパイロット的な実験・・・なのかな(汗)。
被験者はまず、「オーガニックの新鮮な果物、野菜、グルテンフリーの全粒穀物、卵、1日コップ8杯の水」からなる「除去食」を3日間摂取。
アルコール、カフェイン、砂糖、加工食品、乳製品、赤肉、グルテン(小麦、ライ麦、大麦、スペルト小麦など)は除去するように指示。
その後3グループに分けられ、それぞれ
1)800-900Kcalのジュースを摂取する典型的ジュースクレンズ
2)ジュースと通常の食事を自由に摂取
3)800-900Kcalの植物由来のホールフード(できるだけ精製や加工をしない食品)を摂取
(ただし各群とも男女各2−3名ずつと少ない)。
さらに3日間、最初に指示された食事を摂り(だと思うんですが)、通常の食事に戻ったとのこと。
そして、介入前、除去食を食べた後、ジュースなどなどの後、そして実験後14日後、といったタイミングで、唾液や便などの検体を用いて口腔・腸内の細菌叢を解析したということである。
その結果、
口腔や腸内細菌叢は、最初の除去食のときと比べて、その後の介入群で変化があり(3日間だけの短い摂取期間でも、ということ)、
特に、いわゆる"ジュースクレンズ"の群では、
これまで他の疾患などでの研究で、炎症や認知機能などと関連があるかもしれないとされている細菌の増加が示唆された、ということである。(細かくなるので詳細は省きますが、例えばジュース群での腸内細菌叢ではPorphyromonadaceaeが増加傾向にあった、など)。
むむむ。
マイクロバイオームと疾患や病態との関連はあちこちで多く検討されてはいるけれど、個人的には、原因か結果かわからない部分も多いのではないかと思いながら論文を読んだりしている。とは言え、体内で私と共存している細菌たちには、なるべく多様性を保ってもらったほうが良さそうだなとは思っているところである。
今回の論文は、最初にも書いたとおりあくまで小規模な実験で、
結果も(論文の図表を見ても)それほど有意差があるものでもなく、ぶっちゃけ、現時点でのインパクトはそんなに大きくないだろう。
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