recriさんから提案いただいて、シェイクスピアを観ることに。
「リア王」の新訳版(河合祥一郎さん訳)を藤田俊太郎さんが初演出とのこと。
シェイクスピアには全く詳しくない(というかほぼ知らない)私。
今回の新訳は、これまでに上演されてきたクォート(Q)版(1608年出版;『リア王の物語」)とフォーリオ(F)版(1623年;『リア王の悲劇』)の折衷稿ではなく、
Fを底本とする「新訳 リア王の悲劇」(角川文庫)を元にした初の公演とのことで、
QとFを比べてみようと思い、事前にちょっぴり予習(?)をしてから公演に赴いたのであった。
なんと、入手したのは公演初日のチケットであった。
横浜。少しだけ早めに着いたので、ここはやはり少しだけ海を眺めてから行くことに。
ということで、無事KAAT(神奈川芸術劇場)着。
着いてみると、
え? これ、あのおどろおどろしい(?)「リア王」なのに、子どもたちが観に来てる??
と思ったら、
何やら文化庁の企画で、"小学生~18歳以下の子どもたちを無料でご招待、保護者等ご同伴者は半額でご案内"というのがあったようだ。なるほど(ちなみにすでに定員に達したとのこと)。それで、パンフレットもやさしい文章になっていたのか。
いよいよ幕開き。
今回、キリスト教が入ってくる前の3-5世紀の「ブリテン」が舞台。
舞台装置はシンプル。音楽は宮川彬良さん。衣装は、宝塚歌劇団の有村淳さん。
主演のリアは74歳の木場勝己さん。
第一幕第一場。
まずはケント伯とグロスター伯が登場・・・・と思っていたら、初っ端からちょっと驚きの示唆的な発端。
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休憩をはさんで3時間と少し。
いやすごい。
メインキャストの皆さん、圧倒的な演技。納得のキャスティング。
コロスの皆さん、物語を着実に丁寧に進行。目立たないようでいて、一人一人が劇の要。
そして舞台上に降り頻る雨嵐! いや本当に!!!
古代ブリテンの話のはずなのであるが、どこかとても現代的(個人的には、ラストの音楽、特にパーカッションについてはもう少し古代に寄せてあった方が好きだったかもだが)。
エドガーを女性が演じることについて、ジェンダーレスの解釈を自分はまだ咀嚼しきれていないが、それでもこの難役を土井ケイトさんが見事な説得力で見せてくれていた。
コーディリアと道化の2役を演じた原田真絢さん、foolってきっとこうだったんだよなという賢さと優しさ、厳しさをまとわせていた。
などなど、書ききれないけれど、皆さん良かったです。
最後は総立ちでの拍手。
QでもFでもなく、時代を現代に寄せるなら、高齢者の介護の問題(?)などとして新たに改題できそうだし。
「リア王」、もちろん話は重いが、今回の舞台はそれほど重くなく、少し気持ちが軽くなる場面もあるので、良かったらぜひ。
KAATは、座席に段差があるので、多分どこの席でも観やすいと思われます。
ただし地上入口からホールの座席まで、エスカレーターやエレベーター等で結構上ることになるので、ギリギリに到着するのは避けた方が良いです。
女性トイレは長蛇の列になりがちで、その場合は上階の女性専用のところに行った方が早いです。
なお、今回使用された河合先生による新訳「リア王の悲劇」は面白いです。
QとFの違いや当時の時代背景、語韻、最近の学説など、解説が詳細でわかりやすく、勉強になります。河合先生はシェイクスピア協会の元会長なのだそうです。おすすめ。
[Amazon] リア王の悲劇(角川文庫)
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