通りがかりの書店で、平積みになっていたので思わず読んでみた、この本。
「キリスト教の本質 『不在の神』はいかにして生まれたか」加藤隆著、NHK出版新書(2023)
いやこれね。
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カバー裏の文章を引用してみると、
全世界で二二億五〇〇〇〇万人もの信者を有する一大宗教であるキリスト教。しかし、その実態が「神なし領域の宗教ビジネス」であることを、日本人のほとんどが理解していないと著者は言う。(以下略)
ということで、本書の内容はまさにこれなのである。
キリスト教は「神なし領域の宗教ビジネス」である、という内容を述べているのだ。
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著者は、キリスト教が成立する前後の時代、ユダヤ教という民族宗教にそもそも「問題があった」とする。その問題とは、ユダヤ教において神が沈黙しており、動かないということである。まあここはそうだろうと思える。
ユダヤ教の歴史をひもときながら、
著者は、神(ヤーヴェ)に祈ってもユダヤ人の王国が滅亡した事実から、
人は、神が悪いという事態を避けるため、人間の側に罪があったということにしたのであり、そこから本格的な一神教が始まったのだ・・とする。
神の沈黙を正当化するために、神ではないもの(人間の態度に応じて自分の態度を変化させる者)を神にしてしまった。(以上引用)
そして、「ユダヤ教の改革運動を行おうとした」一人のユダヤ人であったイエスの”意義”は、
”神からの実質的で好意的な介入がイエスに生じた”ところにあると述べる。ここで、イエスに関しては著者は好意的に述べているような印象だ。
しかしその後、イエスを神格化"するために、"宗教ビジネス人間たち"が活動し始めると説く。
パウロは、神の不在を確認した上で、神をダシにして、自分に従う宗教集団を作り出し、指導者になる、きわめて巧妙な宗教ビジネスマンである。(以上引用)
などなど・・・・
本書で著者は、歴史的事実や福音書を含む多くの文献、美術作品などもふまえ、キリスト教成立からその「世俗化」への過程までを概説している。
キリスト教は西洋近代において「不可欠だった役割を終えようとしている」(引用)とする流れは首肯できるところではあるし、確かにこういった視点での著作は新鮮である。
個人的には、タルムードには実際、こういうふうに書かれているのかと知ることができたのが興味深かった。
とは言え、
要するにこれ、最初から最後まで、ある意味キリスト教やユダヤ教、そしてその信者の方々をもディスっているととられてもしかたない書き方のように思えるし、
日本語としても、内容としても重複がみられたりまとまりが悪いところもあり、またなんというか、信仰して誠実に暮らしている方がおられる中、やや礼を欠くところはないのか・・
「それを言っては・・」的なところなのでは・・
などと感じたりしたのであるが。
カバーに「類書皆無の宗教論」とあるが、まあそうだろうなと。
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