枡野 俊明著
「仕事も人間関係もうまくいく放っておく力: もっと『ドライ』でいい、99の理由」
多くの著作をものしておられるが、この文庫本(Kindle版もある)は、禅の教えをベースに、日々いろいろな情報や雑念に覆われている私たちが、どういうふうに物事を「放っておく」べきなのか、見開き1項目ずつの体裁でコンパクトにわかりやすく書かれたものである。
各章のタイトルは、
1章 むやみに「関わらない」
2章 いちいち「気にしない」
3章 やたらに「反応しない」
4章 無駄に「疲れない」
5章 無理に「白黒つけない」
であり、それぞれにより具体的な教えの項目が並んでいて、おそらく誰が読んでも、「そうだよなあ」とわが身を振り返ってしまうような内容だと思う。
例えば3章を見てみると、一つの項目として
42 情報の入り口を時々ふさぐ
(前略)私たちの耳目にふれる情報がすべて正確なもので、しかも仕事や人生に必要なものであるならまだしも、大半は違います。(中略)だったらなにも、世の中に発信される情報を、あれもこれもと必死に収集する必要はないのではないでしょうか。
それをよく考えて、ときには情報の入り口である目を閉じ、耳をふさぐことをおすすめします。(後略)(以上引用)
といったように、SNSなどでの真偽不明の情報にどっぷりふれがち(そして振り回されがち)な私たちを、ゆっくりと諭すようなシンプルな言葉が並んでいる。
一切の執着を捨て去ることを意味する「放下着」(ほうげじゃく)という禅語があるように、「放っておく力」を発揮する生き方は、禅的な生き方でもあります。(はじめに より引用)
個人的には、「『ご縁』に従う」とか、「比べるなら『昨日の自分』」とか、「自分の選択は『すべて正しい』」とか、
あとは(まさに夏休みにアウトレットとか行ってまた余計なものを買ってしまった断捨離しなくちゃとなりそうな自分には)「『捨てる』のではなく『手放す』」とかの言葉に、ちょっと響くものを感じたりした。
いろいろと仕事でもプライベートでも迷いを抱えがちな時には、こういう本を手元に置いておいて、疲れたなと思ったらどこかランダムに1ページ開いてみる、というのもいいかもしれない。
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