内科学会の講演会で、胃癌についての講演を聞いた。
改めて、内視鏡が単なる「胃の中が見えるカメラ」ではなく、さまざまな技術を駆使して(いまやAIの応用も進んでいる(実用化はもう少しか?))、小さな病巣の発見や病理組織学的な診断まで可能な先進医療機器であり、内視鏡による胃癌の質的診断が相当に進化していることを実感した。
この小さなスコープで診断から治療までできるのだから、すごいわ、内視鏡専門医の先生方。あと開発しているメーカー様。
まあそうは言っても、内視鏡で治療ができるのは早期診断ができた場合。進行してしまった態で見つかった胃癌は、やはり開腹手術(お腹を切る手術)での治療が検討される。やはり早期発見がとても大切(予防も大切で、胃癌の予防はまずピロリ菌除菌と、禁煙、減塩)。
講演後のディスカッションで、内視鏡検査はどのくらいの間隔で行うべきか(受けるべきか)という話題に。
日本消化器内視鏡学会HPでは、
"ピロリ菌感染、萎縮性胃炎や腸上皮化生の所見があった場合"は2-3年間隔、
"ピロリ菌がいままでに感染していない胃の場合"は定期的な検査はあまり勧められない(検診は別)、
"早期胃がんの内視鏡治療をうけた方"は少なくとも年に一度、
と記載されている(2019年8月6日更新の記事)。
胃内視鏡検査は何年に1回(どのくらいの間隔で)受ければいいですか?
この点について本日の講演では、
その人の持つ「上部消化管の癌に対するリスク」を考慮すべきという話がされていた。
上部消化管内視鏡検査では、胃だけではなく、食道から十二指腸までの観察ができる(ちなみに咽喉頭も)。なので、
食道癌のリスク(アルコールやタバコなど)、胃癌のリスク(ピロリ菌感染や除菌の状況による。あと胃癌にかかった家族がいるかなど)を考慮して、これらがあってリスクが高い場合には年1回、そうでなければ通常の2年に1回の検査で良いのでは、という議論であった。
とは言っても、自分の「がんのリスク」がどんなものか、あまりわからない方もいらっしゃるかもしれない。
胃がんは中高年以降の発症が多い疾患であり、自治体の胃がん検診は40歳くらいから始まると思われるが(バリウム検査の場合)、若い人でもがんはもちろん食道や十二指腸の病気であることもあったりするので、胃の調子が悪いとか、家族にピロリ菌の感染がある(あった)人などは、お近くの消化器内科で相談してみると良いと思う。もちろんタバコは、胃癌に限らずあらゆるがんのリスクなので、必ず禁煙を。
0 件のコメント:
コメントを投稿