この1週間いろいろと忙しかったため、しばらくぶりのブログ更新となりました。
久しぶりにコロナワクチン業務に行ったりというのもありましたが、
昨日、このブログからもリンクさせていただいている
日本禁煙学会「食と栄養部会(タバコと食・栄養部会)にて、
タバコと食と自己免疫との関係について、オンライン配信にて、ちょっとした情報提供をさせていただいたのでした。
ご聴講下さいました皆様、ありがとうございました。
(このあたりのテーマは個人的に興味を持っているところなので、今回せっかく作ったスライド、またブラッシュアップしながらいつかどこかで他の皆様とも情報共有していきたいです)
禁煙学会の会員の皆様、そうでなくてもタバコと食、禁煙指導などに関心のある栄養士・管理栄養士の皆様、よろしければこのブログのリンク欄(右のカラムにあります)から詳細をご参照の上、ぜひご参加下さいませ。
ということで、
またじわじわとブログを再開したいと思うわけですが、
先日、ちらりとタイトルだけ見て「なんだこれ!!」と思ってしまった記事。
Does Whole Milk Speed Cognitive Decline in Older Population?
「全脂肪乳(牛乳)は高齢者の認知機能の低下を速めるのか?」
ってなんだこれ!!(また思ってしまった)
だって不肖私、北海道民の血を引いているからか(?)、わりと、というかかなり乳製品好きなのです。
牛乳なんて毎日飲む飲む。
一時期は「だめだわ私、飽和脂肪酸を摂りすぎちゃいけないわ・・」と昔の少女マンガのヒロインのようなセリフを言いながら(嘘)低脂肪牛乳ばかり飲んでいましたが、いや中にはおいしいのもあるのですが、やはりそのあっさりした風味ぶりに、
「・・ちょ、ちょっとだけなら・・・・」
と何かの禁断症状のようなことを言いながら普通牛乳に復帰してしまい、
「やっぱり牛乳はコクがないと!!」
と言いながら、両手を腰に当ててぷはー・・・
・・とやってはおりませんが(汗)、低脂肪と普通牛乳を交互に飲むようになってしまったわけです。
いつでもどこでも牛乳OK。なんならお寿司でも懐石料理でも牛乳で行けちゃいます。ホントか。
という状況に加えて、
ちょっと最近いろいろと「やっぱり私だめだわーボケたわー」
と感じたりすることも多々あるので😥、
上記のタイトルを目にして、月並みな言葉で言えば、"ややどきっとした"わけです。
なので、ざっと読んでみることに。
今回はスペインのグループからの報告。
心血管疾患の一次予防に関わる生活習慣の影響を解析するための、6年間にわたる他施設での臨床研究の一部として行われた研究とのことです。
対象は、55歳から75歳までの地域住民で、
BMI 27-40 kg/m2と、過体重もしくは肥満があり、
メタボの基準(血糖、中性脂肪、血圧、腹部肥満、低HDL血症)の少なくとも一つを有する人。
これらの方々を、その他の条件を合わせた上でランダムに
・食事と生活習慣への集中介入を行った群
・通常のケアを受ける対照群
にふりわけて、
2年間の観察機関の前後での、食事調査(FFQ)と、認知機能のデータを比較検討したという臨床研究からのデータ、だそうです。
その結果、
乳製品の摂取を少ない群から多い群の3群(三分位)に分けて、さまざまな身体指標や生活習慣との関連を見てみたところ、
牛乳全体(total milk)と、全脂肪乳(whole-fat milk; いわゆる普通の牛乳ですかね)の摂取が少ない群よりも多い群の方が、認知機能指標の数値が有意に低かったとのこと。
なお、低脂肪乳、ヨーグルト、チーズ、その他の発酵乳製品の消費と認知機能とは関連がみられなかった
・・・ということで、
ほとんどの乳製品はあまり影響がなさそうだけれども、心血管疾患リスクがある高齢者では、全脂肪乳(普通牛乳)と認知機能の低下に関連があるかもしれない。その原因は、飽和脂肪酸にあるのではないだろうか(仮説)。
・・・という記事(論文)であったのですが、
いやでも、論文も読んでみたけど、その差って、確かに統計学的には有意なのかもしれないけれども、わずかなのでは?という印象。
今回、普通牛乳を多く摂取している群は他の群に比べてより高齢で、女性が多く、2型糖尿病や高コレステロール血症、それぞれの治療薬の使用、それにうつ症状も多くみられたということです。
さらにその群では、他に比べてナッツの摂取がより少なく、炭水化物、特に精製された穀物と砂糖はより多く摂っていたということですが、そのような栄養に関わる他の交絡因子は調整済みとのこと。
ちなみに、普通牛乳の摂取量は、一番多い群(the highest tertile)で、エネルギー調整後の中央値が17g/日と少なく(平均76.3g/日)、それだと臨床的にはあまり意味がないのではないかと記述)。なお、全エネルギー摂取量を調整しない場合には、平均70g/日と計算されるそう。ちなみに、スペインの人口全体としては、牛乳の総消費量は1人1日あたり200mLと推定され、その24%が全脂肪乳だそうです。
私は統計には疎いので(汗)細かいデータや統計量は原文を見ていただくとして、
上にも書いたように、今回の結果は差としてはわずかであり、著者らもそれは考察のところでこのように記載しています。
「この研究の臨床的意義の解釈には注意が必要である。牛乳全体、また全脂肪乳の消費が、各認知機能検査の変化に与えた影響は小さいものであり、統計上有意差がみられてはいても、今回の結果が臨床的に明らかな影響を及ぼすには至らないかもしれない」
また、今回の研究の対象者が、高齢で、すでに心血管リスクを有している人々であることにも注意が必要かと。
今後、さらなる検討によって、牛乳の脂肪分と認知機能、あるいは他の疾患との関連の有無を解析していく必要があると思われますが、
最初に示した記事(MedScape)でも強調されているように、牛乳や乳製品、たんぱく質、カルシウムなどは、高齢者の健康にとって大切な栄養素でもあるわけで。
個々の高齢者、あるいは高齢に向かう人々の、それぞれの心身の状況をよく把握し、パーソナライズされた栄養指導や生活習慣の介入を適切に行っていくのが、やはり大切ではないかということになりますね。
と書いて、私は今日も牛乳を飲むのでありました。
私が認知症になったら、牛乳の長期大量摂取のせいだと思ってください。いや違う。
おいしい牛乳を飲んで認知症になるなら本望だわ。いやそれも違うか。
ともあれ、そのうちどこかのミルクスタンドとか、北海道のどこかに行っておいしい牛乳をごくごく飲みたいものです。チーズ巡りやソフトクリームでも良し。どなたかご一緒しませんか。
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