最近、世界各地から報告されている、原因不明の小児の重症肝炎。
肝移植に至った例や死亡した症例も報告されており、気がかりではある。
以下、Damian McNamara氏によるMedscape Medical News の記事(2022/5/6付)から抜粋して内容を紹介。
Mysterious Hepatitis in Kids: What We Know and Don't Know Now
この記事によれば、これまでに報告されているのは、20か国から228例(WHOの5月4日付報告)。
すでに知られているA型からE型の肝炎ウイルスや、SARS-CoV-2(いわゆる新型コロナウイルス)によるものではない(少なくともこれまでのところは)。コロナワクチンとの関連を示す所見もない(ワクチンを接種していない子どもが発症している)。
一つ、可能性として挙げられているのはなんらかの種類のアデノウイルス。患者の半数程度において、アデノウイルス感染が検出されているようだ。しかしアデノウイルス感染であればもっと近くの子どもに感染が広がることが多いことが考えられ、世界的にぽつりぽつりと発生している現在の状況を考えれば、まだ確定的ではない。今のところは「アデノウイルスが原因"かもしれない"」という程度であって、肝炎の発症には他の何らかの因子が関わっていることが十分ありうる。
一般的な肝炎の症状は発熱や倦怠感、食欲不振、吐き気、腹痛、褐色尿、便の色が薄くなる、関節痛、黄疸(目や皮膚が黄色くなる)などだが、今回の新しい小児の急性肝炎では発熱はほとんど見られず、吐き気・嘔吐や下痢などの方が多く見られるとのこと。
これからこの肝炎がますます多くみられるのか、あるいは収束するのか、原因が判明するのか予断を許さないが、まずはコロナウイルスと同様に感染予防につとめ、こどもの体調に心配があったら医療機関に相談するよう心掛けたい。
0 件のコメント:
コメントを投稿