世田谷パブリックシアターで、ブレヒトの戯曲「セツアンの善人」を観てきた。
例によって、チケットのサブスク「recri」からのオススメである。
演劇初心者で、この作品について知識がなく、しかもこのポスタービジュアル、なかなか前衛的!? どんな演出!??・・・ということで、
「これ・・どうなのかなあ」
・・・・と思っていたタイミングでrecriからオススメされたので、(それも少しおトクに・・・recriさんありがとうございます)チョイスしてみた。
一応リンク:[recri] 初回2000円割引付きお友達紹介URL
結果、
とても良かった。おすすめ舞台である。
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土曜日、仕事と期日前投票を済ませてから三軒茶屋へ。
中途半端な時間ではあるが、終焉が21時半近くなるので、少し腹ごしらえ。シアターのカフェでピザフォカッチャ。
客席に向かう通路に、このような掲示が。
掲示してくれると観る側は(心理的に)安心ですよねやはり。もちろん、いまどきホンモノのタバコを役者さん(と、副流煙の被害者となる観客)に強いる舞台はないと信じていますが。

recriさんからのチケットは1階の真ん中あたりで、良席!!!と思っていたのだが、前に背の高い男性がお座りに(泣)。
まあ一応座席は千鳥ではあるし、結果的にはほぼ問題なく見えたのだけれども(前の方が前屈みにならないで下さったからだ)、私のようなチビ組は、もしかしたら通路寄りとか、2階の最前列とかの方が心配いらないのかもしれないと思った。
そして「セツアンの善人」。
「この世に善人はいるのか」と地上に降り立った三人の神様。
その神様に一夜の宿を提供した娼婦シェン・テ。
神様はシェン・テを善人と認め、お礼に大金を渡す。
お金をもらったシェン・テは、それを元手にタバコ屋を開店するのであるが、それを聞きつけた知人たちが押し寄せ、どうにもならなくなってしまう。
そんな中、シェン・テは、失業中の元パイロットと恋に落ち・・・
ブレヒトがこの寓意劇を書いたのは第二次世界大戦中、まさに善とは?悪とは?という世相であったと思うが、
白井晃さんによるこの演出は、なんとなく殺伐とした令和の日本に暮らす我々に刺さる内容であったように思う。
"「人はどこまで善人でいられるのか」「人はお金で幸せになれるのか」という現代社会に生きる我々にも通じる痛切で普遍的な問いかけは、ストレートに現代社会を照射します"( パンフレットより抜粋)
アジアのどこかを想定した設定、奇抜のように見えて何故か違和感のない衣装、ライブ演奏で絶妙に舞台を盛り上げる音楽、
そしてなんといっても主役の葵わかなさんの二役!! 誰もが引き込まれ、誰もが応援してしまう熱演。
もちろん、脇を固める俳優陣も一人一人が力のこもった演技。
不思議なキューブの舞台と、散らばるペットボトル(笑)。
ポスターなどからは、もしかして複雑でわかりにくいのかなあとなんとなく思っていたストーリーも、すんなり理解できた。
善人とは何か。
人への思いやりとは何なのか。
この戯曲の問いかけは、そしてこの演劇の結末は・・・我々、すなわち観るもの、そこにいるものの心にゆだねられている。明日から自分はどのように動けるか、どう生きていくか、そうぼんやり考えながら夜、帰路についた。
もう一度見ようかとも思える作品。機会があればぜひ。
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