2024年7月26日金曜日

「感謝の気持ちが寿命を延ばす」

CareNetでこんな論文が紹介されていた。

"感謝の気持ちを持つことは長生きの秘訣となる可能性が、新たな研究で示唆された。"


"4万9,000人以上の女性を対象にしたこの研究では、感謝の気持ちを測定する質問票での得点が高かった女性では、低かった女性に比べてあらゆる原因による死亡(全死亡)のリスクが9%低いことが明らかになったという。"

 (以上、[CareNet] 感謝の気持ちは寿命を延ばす より抜粋引用)

原著論文はこちら⇩

Chen Y, et al. Gratitude and Mortality Among Older US Female Nurses. JAMA Psychiatry. 2024:e241687. doi: 10.1001/jamapsychiatry.2024.1687. 

[PubMed] Gratitude and Mortality Among Older US Female Nurses


4万9千人を超える米国人女性が参加したNHSスタディ。

調査開始時(ベースライン時)に、感謝を感じる経験について自己申告し、そのレベル別に、死亡のハザード比(HR)を推定したというもの。

ここでは、ベースライン時の社会人口統計学的特性、社会的参加、身体的健康、生活習慣における要因、認知機能、精神的健康について調整されている。


参加者の感じる「感謝の気持ち」について、具体的にこの研究ではどう評価したのか。

今回は、自己記入によるアンケート調査であって、感謝に関する6項目の質問が設定された。この項目は、感謝の感情を経験する傾向の尺度として広く用いられ、有効性が認められているものだという。


試しに原文を拾って訳してみると、

1. I have so much in life to be thankful for. 人生には感謝すべきことがたくさんある。

であったり、

5. As I get older I find myself more able to appreciate the people, events, and situations that have been part of my life history. 年を重ねるにつれ、自分の人生の歴史の一部である人々、出来事、状況に感謝できるようになった。

であったり。


このような6項目にそれぞれ「まったく同意しない」から「強く同意する」のいずれかを選択してスコア化。

そしてデータベースにおいて、調査追跡期間中の死亡、死因を確認し、回答者の感謝に関する回答を、上記のスコアに従って解析した結果、

"高スコア群では低スコア群に比べて全死亡リスクが9%低いことが明らかになった(ハザード比0.91、95%信頼区間0.84〜0.99)。また、死因別に解析したところ、心血管疾患による死亡と感謝の気持ちは逆相関の関係にあり、高スコア群では低スコア群に比べて同死亡リスクが15%有意に低い(同0.85、0.73〜0.995)ことが示された。"(ケアネットより引用)

ということであった。

(その他の死因でも、有意差はつかなかったが関連が示唆されている)


感謝の心を持つ人は、長生きにつながる可能性が高くなるということである。


"またChen氏は、「先行研究では、週に数回、感謝していることを書き出したり話し合ったりするなど、意図的に感謝の気持ちを育む方法があることが示されている。"(同上)


なんとなく体感でもわかる気がするが、このような研究でデータとして示されたことは大変興味深い。


男性ではどうなのか。

また、逆に考えれば、ひとに対して感謝の気持ちを持ちづらい人は、それだけ死亡リスクが高くなるということになるのだろうが、どうなのか。

他責思考とか誹謗中傷とかデマとか、ネットで散見する悪意は、そのひとの身体や死因に影響または関連しているのだろうか。今後の解析を待ちたいところである。


いつも感謝の気持ちを持っていたいし、記事の最後にあったように、それを表現し、伝えるように努力していきたいと改めて思う。


皆様いつもありがとうございます。






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