新国立劇場バレエ団「ニューイヤー・バレエ」を観てきた。
恒例のガラ公演。
とは言え、ここ数年はコロナ禍で思うような公演ができなかった・・ということで、
2023年の幕開け公演は(正確には年末年始に”くるみ”があったわけですが)上演延期となっていた演目、A Million Kisses to my Skinから始まった。
その他も珠玉のラインナップである。
幕間にキャスト表を確認。何人か怪我で交代になっている。残念だけれども、次のコッペリアもあるし、どうぞ皆様養生して下さい。
「A Million Kisses to my Skin」
"英国の振付家デヴィッド・ドウソンによる作品で、2000年にオランダ国立バレエで初演"とのこと(公演パンフから引用)。
音楽はヨハン・セバスティアン・バッハのピアノ協奏曲第1番ニ短調。
その音楽に乗せて、シンプルな舞台装置(純白で正方形のキャンバスのように見える)の中、やはりシンプルなブルーの衣装を身にまとったダンサーたちが、
まるで一人一人が何かの分子で、ピアノとオーケストラの音の中で化学反応を起こしているかのように、動いていくのである。
確かにクラシックバレエなのだけれども、プログラムの解説に「それを少しずらしたり、ひねったり、引き延ばしたりすることで、バレエのボキャブラリーが拡張され、より技巧的なものになっている」と述べられている通り、どこか未来的で、新しい身体性を目の当たりにするような作品であった。
ピアノの高橋優介さんの演奏も素晴らしかった。
「眠れる森の美女第3幕より グラン・パ・ド・ドゥ」
ここから2作品はゲストダンサーが出演。こちらのパドドゥ(プティパ版)は、なんとロイヤルバレエのプリンシプル、ヤスミン・ナグディさんとマシュー・ボールさんである。ほんとか!!
いやもう夢のような一幕。ささやかなシャンデリア装置がぶらさがっているだけの舞台なのに、二人が踊ればそこは宮殿。全幕を見たくなるではないか、これでは。
「ドン・ジュアン」(抜粋)
これは私自身はあまり見たことがない作品であったが、ノイマイヤーがフランクフルトバレエに振り付けた1972年の作品だそうである。こちらもゲストダンサーのお二人、なんとハンブルクバレエのアリーナ・コジョカルさんとアレクサンドル・トルーシュさん。こちらも「ほんとか!!」と言いたくなる顔ぶれ。
同じ舞台なのに、雰囲気ががらっと変わり、「死」が漂うちょっとミステリアスな作品。残念ながらオペラグラスを忘れた近眼の私は(2階席でした)舞台が暗くなってやや見づらかったのであるが(汗)、それでも二人がダンスを通して語り合い、そして最後に舞台上で別れていく(と言っていいのだろうか)シーンは圧巻であった。
「シンフォニー・イン・C]
言わずと知れたバランシン作品。もうこれは楽しむしかない。新国立バレエのダンサーの層の厚さ、すみずみまできっちり行き届いたコールドバレエ、ラストの晴れやかさ。
すべて楽しかった。
眼福。
満喫して雨の中を帰り、オペラパレスでもらった今後の公演のチラシをテーブルに並べて、「次はどれを見に行こうか」と考えている。
次はなるべくオペラグラスを忘れないようにしよう。
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