2025年1月5日日曜日

「欲望の美術史」

年末に、図書館を歩いていたら目についたので借りて見た本。

<オールカラー版>「欲望の美術史」宮下規久朗著 光文社新書

[Amazon] 欲望の美術史 光文社新書


本書は、美術を生み出し、求めるときの様々な欲望に光を当て、美術というものをいろいろな観点から眺めたエッセイ集である。(本書より)

2011年から発行の頃(2013年)まで、産経新聞(近畿地方版)に連載されていたエッセイをまとめたものとのことだ。

よく見ないで、人間の「欲望」の美術表現について学際的に論じた本なのかなと思って読んでみたのだが、エッセイだった・・・。


文字が大きくて読みやすい(というか文字数が少ない)し、

内容は

第1章 欲望とモラル

第2章 美術の原点

第3章 自己と他者

第4章 信仰、破壊、創造

とバラエティに富んでいて、(2010年代の話題なので我々の記憶にも比較的新しい出来事なども記載されており)読みやすい。

個人的には第二章の中の、「空間恐怖」の項のチュリゲラ兄弟("全体を過剰に装飾し、金で覆う豪華絢爛な装飾祭壇")や、

同じ第二章「追悼と鎮魂」のムカサリ絵馬(”若くして死んだ息子や娘のために、彼らが幻の配偶者と結婚式を挙げている情景を描かせて寺院に奉納した絵馬")

などと言った、著者が足を運んで紹介している、なかなか他で見ることのない絵(画像)が興味深かった。

ちなみにWikipediaによれば、

「ムカサリは「迎えられ」からくる結婚の方言。嫁に迎えて去ることからこう呼ばれる。」

なのだそうだ。

[産経新聞] 山形県東部に残る「死後婚」の風習 ムカサリ絵馬に込める思い 2020/9/21


ちょっと古い本ではあるけれど、宗教から誠治、ヌードから死まで、人間の営みに関わるさまざまな美術作品を、カラーで気楽に眺めるのにお勧め。






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