2023年6月25日日曜日

緩和ケア

たまたまYouTubeでこの動画を見た。
NHKで放送された番組のようであった。

73歳の緩和ケア医。
女性医師の大先輩だ。
その関本先生が勤務されていた緩和ケアクリニックにはもう一人、緩和ケアを専門とする医師がいらしたという。

それが、関野先生の息子さんの関本剛先生。

お二人の体制で、日々、人生の締めくくりに向かう患者さんやそのご家族に向き合ってこられたが、

なんとその、緩和ケア医である息子さんご自身が、末期の癌であることが判明。

医師として、また母親として、息子の緩和ケアに向かうことになった、ということである。

想像を超えた試練であるように思った。

ここには描かれていないところで、どれだけの涙が流れただろう。

しかし、一方では、親も子も緩和ケアのプロフェッショナルであるからこそ
できる会話、交わせる言葉もあるように感じた。

動画リンク(YouTube)↓


最期のとき、穏やかに過ごせる時間が持てた、
ということはやはり、お二人の緩和ケアに関する深い経験、先を読む冷静さ、そして思いやりが見事に活かされたように思う。

そしてまた別の動画(↓)では、その息子さんの意思、関本剛先生が、生前に自ら撮影した遺言があった。

通夜あるいは葬儀の席で流される映像で、

「皆様、お楽しみいただいてますでしょうか」

と明るく呼びかける関本先生。



先に天国に行って、後から来るひとのために宴席を用意しておいて下さるそうである。

ご本人からのこんな言葉を聞ければ、先生の死を嘆き悲しむ人の心に、ほんの少しではあるが現実から天国に向かう光のようなものが見え、

よく死んでいくために、今を頑張って生きていこう

という気持ちが生まれるのではないかとも感じた。


他の関連動画では遺影とともに十字架が映っていたので、キリスト者であったゆえに、紙のみもとに召されることに対して恐れが少なかったのかもしれないけれども、
身体的苦痛、また本人とご家族の精神的な苦しみをやわらげ、自分らしい人生のフィナーレを奏でられるようにするために、緩和ケアという医療はやはり大きな存在であると思った。

"がん末期"の医療といったイメージのある緩和ケアは、それを受けていただくことを提案しても、受け入れられない患者さんやご家族もいらっしゃる。けれども、死にゆくための医療ではなくて、これからより良く、自分らしく生きるための医療が緩和ケアなのである。


短く生き、多くの人々の心に響く言葉を遺して下さった関本剛先生のご冥福と、
雅子先生、ご遺族の皆様の今後の安寧をお祈りいたします。

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