難聴や補聴器についての耳鼻科の先生のミニ講義を聞き、大変勉強になった。
難聴には
伝音性難聴(外耳~中耳の音の伝わりが悪い)
感音性難聴(内耳~聴神経~脳が悪い)
混合性難聴(上記の混合)
などがあり、
「聞こえづらい」という場合、その難聴がどのパターンに当たるのか、また治療可能な病気や原因がないか(あるいは耳垢がたまっていたりしないかも含め)、耳鼻咽喉科で診察および検査を受けることが大切だ。
なぜなら、感音性難聴と伝音性難聴とでは、音の「聞こえ方」だけでなく、音の「聞き分け」にも違いがあるために、対応や治療が異なってくるからである。
たとえば伝音性難聴では、音が耳の中(内耳)に届けられれば聞こえてくることが多いが、
感音性難聴(高齢者に多い)の場合は、音として聞こえてもそれを「聞き取る」「聞き分ける」ことが難しいため、単に音を大きくするだけでなく
ゆっくり・はっきりと、そして、その状況に合った話し方
をしないと伝わりにくい、ということである。
伝音性難聴は"予想外の言葉"は”聞き取れない”と心得ておいた方がよいようだ。
また補聴器についても種類はいくつかあり、選び方にも違いがあるけれども、
何と言っても、その患者さんまたは高齢者の方が、
「補聴器を使ってみよう」
という前向きな気持ちになっていなければ難しい
とのことであり、これまでの経験から私も実感としてわかる。
どんなにテレビの音量を大きくして聞いていても、どんなに家族が「補聴器使ったらいいのに」と言っても、
がんとして補聴器を使わない高齢者の方は、
たとえ家族がどんなに良い補聴器を購入したとしても、結局使わなくなってしまうということだ。まずは、「補聴器を使うとこんなに良いことがある」などと思っていただかないとならない。
ただし、
難聴が続くと認知症のリスクが高くなるということは、これまでの研究報告からよく知られている。
一方、難聴があっても、適切な介入(耳鼻科受診や補聴器の使用など)があれば、認知症のリスクを下げることができると報告されている。
若い頃から大音響を聞きすぎないこと(=聴力に関わる細胞は、障害されると回復しない)、
そして、年齢とともに聞こえが悪くなっても、その時々に適切な器具やサポートを利用して、聞く力や、まわりの人との交流をできるだけ保つようにすること。
これによって、認知症のリスクをできるだけ下げるように試みるとともに、会話や音楽鑑賞なども含む生活を長く楽しんでいただけたらと思う。
個人的には、超高齢社会において今後の認知症リスクを低減するために、自治体とか国が何か聴力に関してプロモーションをやってもいいんではないかと思ったりする。
補聴器はシニア向け、というのではなくてミドル世代から啓発し、なんなら昭和のアイドルやアニメを起用していただくとか(例:赤い補聴器で3倍聞こえる)、限定デザインの補聴器や集音器とか(レス〇とかフェ〇ラーとかのコラボのミニポーチがついたり)、補聴器使用前提の「この周波数で盛り上がろう声優ライブ」とか、時々館内放送で割引クーポンが聞こえるシニア向けショッピングモールとか(以下略
参考:
Powell DS, Oh ES, Reed NS, Lin FR, Deal JA. Hearing Loss and Cognition: What We Know and Where We Need to Go. Front Aging Neurosci. 2022 Feb 28;13:769405. doi: 10.3389/fnagi.2021.769405. PMID: 35295208; PMCID: PMC8920093.
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