こんな論文の情報が回ってきた。
「音楽は記憶を結びつける」・・認知症患者さんへの、音楽療法の試みのようだ。
ざっとabstractを読んでみると、
音楽による介入は、認知症の"行動症状"(暴力とか俳諧とか)に良い影響を与えると言われているが、社会的な他者とのつながりに対して効果があるかどうかについては知られていない。
今回の実証研究では、"the Musical Bridges to Memory (MBM)"と呼ばれる、音楽を用いた介入が、認知症患者さんの社会的関わりや行動症状、そして、介護している側の人のストレス(苦痛)の改善に効果があるかどうかについて検討した。
今回、研究に参加したのは29組の認知症患者さんと介護者(対照8組、介入あり21組)で、前向き盲検、12週間の介入研究である。
公認音楽療法士と演奏家の協力により、週1回の介入"MBMセッション"を実施。その効果を"Verbal and Nonverbal Interaction Scale for Care Receivers(VNVIS-CR)"により評価(すみませんこの指標は良く知らず・・原著に当たって下さいね)。認知症患者さんと介護者の間に生じる作用を、言語および非言語による社交的行動・非社交的行動とで分類し、認知症症状の重症度と介護者の苦痛の度合いを測定したとのこと。
その結果、
音楽(MBMプログラム)で介入した群では、非言語的な社交的交流が増加。また、認知症症状に関連する介護者の苦痛も有意に改善したという。このことから、音楽による介入(MBMプログラム)が、認知症患者の非言語的交流と、介護者の苦痛の改善に効果があることが示された、と結論されている。
これまで、音楽療法の認知症への効果と言えば、多くは認知症患者さんの症状に関しての評価であったと思うが、今回は介護者についても検討しているのが興味深く、また重要であろう。
とは言え、
そのMBMプログラムって実際どんなのか?
・・と思っても論文の原文が読めずにいたら、他の記事で説明を見つけた。日経Beyond Healthのサイトである。ありがとうございます。
そこから引用させていただくと、
"同プログラムは1セッション当たり45分間で、患者と介護者に患者が若かった頃の音楽を生演奏で聞いてもらうと同時に、歌や踊り、シェイカーやドラム、タンバリンなどのシンプルな楽器の演奏をしてもらうことで、音楽に触れあうよう促すものだ。音楽の後には会話時間が設けられた。"
ということなので、
例えば私が認知症の場合、誰か介護して下さっている人と一緒に、若かったころの音楽・・・・・
って何がいいんだろ?(汗
もう一つ、この論文に関する別の記事(Music intervention can help bridge the gap between dementia patients and their loved ones)によれば、"音楽療法の介入前は、何人かはパートナーとコミュニケーションを取ろうとしなかったけれど、介入の間、彼らは楽しみ、歌い、お互いにダンスをするなど、家族にとって大きな変化がみられた"と書かれている。
まださらなる研究は必要だけれど、大切な人と一緒に音楽を楽しむ時間を持てれば、それはお互いにとってとても貴重だ。
音楽家や演奏家の皆様には、次々と消費されるだけの音ではなく、世代を越えて一緒に楽しめるような音楽を、これからも創っていっていただきたいと思う。
0 件のコメント:
コメントを投稿