2025年2月9日日曜日

"脳から「衝撃的」な量のマイクロプラを発見、認知症ではより多く"

ナショナルジオグラフィック日本版の2月5日の記事で、こんなのがあった。

[National Geographic] 脳から「衝撃的」な量のマイクロプラを発見、認知症ではより多く 2025/2/6

おお、これは!?

・・・ということで論文をざっと読んでみた。

Nihart, A.J., Garcia, M.A., El Hayek, E. et al. Bioaccumulation of microplastics in decedent human brains. Nat Med (2025). https://doi.org/10.1038/s41591-024-03453-1

Nature Medicine


環境中に存在するプラスチック粒子[(microplastic and nanoplastic(MNP), polymer-based particulates](500 nm-1nm)は近年著増している。

実験レベルでは疾患や健康被害への影響が示唆されてはいるものの、それがヒトの健康に、どのような濃度でどのように影響するかについては、いまだ明らかではない。

また、ヒトの身体の組織にどのようにこれら粒子が分布しているかについてはわかっていない。


これまで、5マイクロメートル程度より小さい粒子については検出が困難であったが、

今回、著者らは新しいアプローチとしてpyrolysis gas chromatography-mass spectrometry を用い、2016年および2024年に解剖に付されたヒトの組織(肝、腎、脳)におけるMNPの分布を検出した。


結果は、上記のナショジオの日本語記事にある通り。

一部引用すると:


"(前略)マイクロプラスチックとナノプラスチック(さらに小さい直径1~1000ナノメートル)は、人間の肝臓や腎臓よりも高い濃度で脳に蓄積されることが判明した。

また、2024年のサンプルは、2016年のサンプルと比べてマイクロおよびナノプラスチックの濃度が大幅に高くなっており、認知症と診断された人の脳内ではさらに高濃度だったという。"

(以上引用、改行は筆者)


確かに、論文中の図表からは、2016年と比較して2024年の検体では、検出されるMNP量が増加していることがわかり、

特に、「認知症患者の脳」におけるMNPの量の多さについては、きわだって見える。

年齢によって次第に増えるというような単純な増加ではないことから、

著者らは「個人差はあるが、曝露、取り込み、そして排除(どのように排除されるかは不明だが)の間になんらかの平衡が生じ、最終的には環境中の濃度によって体内への負荷が決定されるのであろう」と推定している。その機構は(もしあればだが)大変興味深い。


読んでいて、当然確認が必要かと思われる部分、たとえば検体保存の条件とか各種コンタミの可能性については、緻密な対照実験を行なって否定されたと記載されている。


ヒトの体に、特に脳に、堆積するプラスチック粒子。


もちろん著者らも述べているように、今回の研究から、認知症の原因との因果関係が示されたというわけではない。

ただ、プラスチックと共に暮らしている我々は、もはや生活の上で(というか生きている環境の中において)プラスチックを避けようがないわけであり、

(ちょうど、こんなニュースもあり;[Yahoo!ニュース]トランプ氏、紙ストロー推進中止へ 「ばかげている」とプラ回帰(時事通信)

さて、どうやってプラと共存していくべきなのだろうか、と、カフェでアイスコーヒーを飲みながら考える、ような気がする。






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