2025年3月30日日曜日

「屋根の上のヴァイオリン弾き」

このたび、明治座でやっているミュージカル「屋根の上のヴァイオリン弾き」を観てきた。

言わずと知れた名作・・・なのだが、実は私はこれまで観たことがなく…

今回、とあるチケットのお誘いをいただいたことから、市村正親さん主演の2025公演にて"屋根ヴァイ"初鑑賞となった。




有名なので説明不要かとも思うけれど、一応:

物語の舞台は1905年、帝政ロシア時代のウクライナ。

Wikipediaにはこのように説明されている↓

"『屋根の上のバイオリン弾き』(英語原題:Fiddler on the Roof)は、1964年のアメリカのミュージカル。ショーレム・アレイヘムの短篇小説『牛乳屋テヴィエ』を原作としている。テヴィエ(Tevye)とその家族をはじめとして、帝政ロシア領となったシュテットルに暮らすユダヤ教徒の生活を描いたものである。この作品には19世紀末のシュテットルの様子が良く描かれているという。"(以上、抜粋引用)。

主人公は、架空の街「アナテフカ」(上記の"シュテットル"に該当)のユダヤ人コミュニティで暮らし、酪農を営む(=牛乳屋)働き者の男、テディエ。

長年連れ添っている妻は、信心深くて気の強い、いわゆる肝っ玉かあさん、ゴールデ。

そして5人の娘たちと、村の人々。

「しきたり」(tradition)に従って、日々、神に祈りをささげながら貧しい暮らしを送る中、
年頃の娘たちには恋や縁談の話が舞い込み、結婚が気になるところ。
一方では、村に忍び寄る革命やユダヤ人排斥(ポグロム)の動き。

結婚には親の承諾が必要であるという昔からのしきたり。

テディエの娘たちは、しかし父や母を戸惑わせ、悲しませ、怒らせるような相手と恋に落ち、葛藤の末、それでも自分の意志を貫いていく。

娘たちの新たな旅立ちを順に見送りながら、何よりも彼女たち、そして家族と地域の幸せを祈るテディエとゴールデ。

だが、やがて時代が動き、テディエたちコミュニティが生まれ育った故郷であるアナテフカから、急に離れなければならない状況に・・・

(この後にユダヤ人に起こる運命、特にポーランドで何が起こったかをどうしても考えてしまう場面だ)


ミュージカルを観たのは初めてだったけれども、有名なナンバーの歌詞やメロディは断片的に知っていたので、
「このシーンでこの音楽が使われていたのか!」とか
「オリジナルの振付はジェローム・ロビンスなんだなぁ」とか、
古い作品ではあるがむしろ新鮮に楽しめた。

個人的には、ユダヤの「しきたり」、例えば結婚式や、玄関ドアのところの「メズーザ」の様子の再現などがとても興味深かった。

結婚式で、花嫁が花婿のまわりを回る(舞台では3回だったと思う)のは何が根拠なのかなと思って後で調べたところ、旧約聖書エレミヤ13:22のこの聖句に由来するらしい(wikipedia他による;協調色は筆者);

"How long will you gad about,
O you backsliding daughter?
For the Lord has created a new thing in the earth—
A woman shall encompass a man."

また、花婿がグラスを足で割る儀式(伝統)も初めて知った(というか舞台で見た)。

市村さん、ゴールデの鳳蘭さんを始め、どの俳優さんの演技も歌・ダンスも素晴らしく、またピットのオーケストラの演奏も万全。

ウクライナとロシア、ユダヤそして人生を貫く宗教、伝統と革命、親と子、夫婦、世代、コミュニティ。

改めて今、このミュージカルから考えさせられることが多くあった。

ちょっと上演時間が長めではありますが、どこかで観る機会がありましたら、ぜひ。


明治座近くの浜町公園から覗いた隅田川。


 

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