本棚を片付けようとしていたら、大分前に読んだこの本が出てきて、なんとなく読み始めたら一気読みすることになった。
「震える牛」相場英雄 小学館文庫
発表されたのは2012年。その後、ドラマ化もされている。
ミステリのためここでは詳細は書けないが、
2年前に中野駅前の居酒屋で発生した強盗殺人事件。
いまだ解決されていないこの凶悪事件について、警視庁捜査一課継続捜査班に勤務する「メモ魔」、田川刑事が捜査を命じられるところから話が始まる。
無残に殺害されたのは、一人は獣医師、もう一人は産廃処理業者だった。
当初は不良外国人による強殺と判断され、その線に沿って行われた初動捜査では、その想定のために取れていなかった情報があったことが、やがて判明する。
一方、同じ頃、地方都市の大規模ショッピングセンターでは、有力ブランドのテナント退店や交替の動きがあり、また居酒屋でも提供される食材や加工食品を扱うメーカーやスーパーなどの食品・小売業界では、消費者に見えない部分で利益の追求がなされ、それぞれで動く人々には表に出せない駆け引きや交渉、政界との癒着や打算など、さまざまな思惑がうごめいていた・・・。
大きなテーマは、「食の安全」「食品偽装」ということになるだろう。
しかし、警察機構、政治圧力、風評被害など、多くの要素が絡み合って、エンターテイメント性を高めると同時に、読む側に問題提起してくる。
ただし、最後のところでハッピーエンドになっていないところが、リアルというか重苦しいというのか。
細かいところでは、「うーんちょっとこれはどうだろう?」と思うところもなくはなかったが、とりあえず一気に読んでしまった(前にも読んだはずなんだけど)。
安全安心でおいしい食品は、それを作ってくれている方々の生活を支えることができるだけの対価を払って、いただきたいと思う。
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