たまたま見つけた記事。
[HealthDay News ]How Anger Could Raise Your Heart Risks
「怒りは心臓のリスクを高めるか」というタイトルだ。
調べたところ、下記の論文が、ここで紹介されているものらしい。
紹介されていた記事は、コロンビア大学での研究結果。
実験の対象は、健康な成人(280人)。平均年齢は25-26歳くらい、男女ほぼ半々、BMIも24-25くらいで、コレステロールや血糖は正常という、まさに健康な若い成人である。
その人たちに、
朝の時間帯に研究室に来てもらい、血圧測定やら採血やらを設定し一定時間休息後、ランダムに振り分けて、
それぞれ、あらかじめ定められた方法で8分間、以下に挙げる異なる4つの感情を呼び起こすタスクを行ってもらった("the 8‐minute negative emotion induction task or neutral condition")。詳細は元論文(の、さらに引用文献)をご覧下さい。
1)怒り
2)不安
3)悲しみ
4)中立
そしてそれぞれのタスクの前後、およびタスク終了後一定時間に、
血圧や心拍数測定、反応性充血指数(reactive hyperemia index、RHI=内皮依存性血管拡張(EDV)を示す指標)の測定、また採血により血管内皮細胞における分子発現などを測定した(詳細は略)。
その結果、
「怒り」を起こさせられた群では、中立(対照)群と比べて血管拡張機能が明らかに低下しており、その抑制効果は40分後の測定で最も大きかった(RHI score:怒り群 0.20±0.67、中立群 0.50±0.60)。一方、不安や悲しみの状態ではそのような現象は明らかでなかったという。
つまり、怒りの感情は血管拡張機能を少なくとも数十分にわたり低下させ、そのために動脈硬化のリスクを高めている可能性があるということである。
これまでの臨床的経験が、実験レベルでも確認されたということだ。
In the current study, the provocation of anger adversely affected EC health by impairing EDV, whereas the provocation of anxiety and sadness did not.(本文より引用)(訳:"今回の研究では、怒りの誘発は内皮依存性血管拡張を低下させることで血管内皮細胞の健康に悪影響を与えた。しかし、不安や悲しみの誘発はそのような影響を及ぼさなかった"。)
論文でlimitationとして付記されているように、今回の実験では、疾病や治療による交絡因子を避けるため、(まだ動脈硬化が進んでいないと考えられる)若年健康成人が被験者となっていたわけだけれど、それでも、怒りの感情から40分たっても血管拡張が抑えられていたということになる。なのでこれが例えば、すでに動脈硬化がある程度(以上に)進んでいる高齢者や生活習慣病患者だったら、その人が「キレた」時の血管の負担はいかほどなのか。・・・キレない方が多分いいですね(汗)。特に、慢性的に、すなわちいつも怒りっぽい人は要注意であろう。
論文のconclusionにも、怒りを繰り返すことが血管内皮細胞に負の影響を与え、それが心血管疾患につながっていくだろうと述べられている。
「怒り」が実際どのように血管拡張を抑制するのかについてのメカニズムはまだ明らかではなく今後の課題であるが、
とりあえず、「怒り」はいろんな意味で健康に良くないだろうということは覚えておいた方がよいのではないだろうか。
(最近、ひとの怒りの感情を収益にしようとするケースがあるように思え、これは関係する人の寿命を間接的に縮めていきやしないかとすら思ったりする。これに限らず、世の中の行動基準がすべて"収益化目的"ばかりにならないことを祈るばかりであるが、もう遅いのかもしれないとちょっと悲観している)
とは言いつつ、不肖私も人間ができていないので、日常よく"プチ怒り"を抱くことがある。
(ここで例をあげてみようと思いましたが、いくつか思い出して書いていたらなんとなくプチ怒りがこみあげてしまったので、血管の健康のために止めておきます(汗))
そこで、あの有名なセリフを思い出しておきたい。
そう、
「まずは君が落ち着け」
と。
どんな状況でも自分に対して、こういうふうに言えるようになりたい。ほんとか。
Over time, these injuries to vessels might encourage heart disease
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