2023年1月17日火曜日

ひきこもり

「ひきこもり」についての講演を聞いた。

九州大学でひきこもりの研究をされ、ひきこもりの方を対象とした外来を担当されている、精神科の加藤准教授のお話であった。

ひきこもり研究ラボ@九州大学

不勉強で知らなかったのだが、アメリカ精神医学会の診断基準DSM-5 TRにもHikikomoriという言葉が収載されたのだそうだ。

 

ひきこもりとは、

"様々な要因の結果として社会的参加(就学、就労、家庭外での交遊など)を回避し、原則的には6ヵ月以上にわたって概ね家庭にとどまり続けている状態を指す現象概念(他者と交わらない形での外出をしていてもよい)"(厚生労働省)

と定義されている。

ただし、その定義にも注釈がついていることでわかるように、ひきこもりの方の中には、かなり多い割合で精神疾患をもつ方がいらっしゃるということで、

まずは精神科でその診断や治療を受けていただいた方がよい、ということである。

特に、うつ病で引きこもりがある方だと、自殺のリスクが高くなるという。


ここ数年は、コロナ禍で外出制限や在宅勤務が多くなり、それを契機とした引きこもりのリスクが高まっているそうだ。

上記の「ひきこもり研究ラボ」HPに、それに関する加藤先生らの研究成果が報告されている。

"統計的なデータ解析からは、コロナ禍の自粛行動そのものよりも、人との交流に消極的な部分や周囲の人からのサポートが得られない状況が、社会人の孤立を深めるリスク因子であることが示唆されました。"(以上引用。マークはブログ筆者による)

たしかに、コロナ禍では、在宅勤務やオンライン会議(またはオンライン交流)の状況によって、孤立のリスクに違いが出ていたのかもしれない。


ひきこもりの治療には、薬剤による治療とサイコセラピーとの組み合わせが用いられるとのこと。この部分は専門的なので割愛するけれども、 その他にもいろいろ情報があり、精神科を専門としていない私にも大変勉強になった。今後、どこかで産業医面談の際に今回の知識を想起できればと思う。


コロナ禍となって3年ほどたった今、3密の場などではやはりマスクはあった方がよいと思うが(インフルエンザやら花粉やらもあるし)、マスクを適切につけ、体調をみながら、少しずつ外に出る機会を作っていっていただければと思う。

無理に人と話す必要はないが、人と一緒にいる、同じ場所で過ごす、そういうことを少しずつ積み重ねていけたらいいのだろう。


上記の九大の引きこもり外来のホームページには、自分でもできる「引きこもり度チェック」があるので、家族や友人、あるいは自分の引きこもりについてご心配があれば、試してみてもよいのでは。

そして心配があれば、ぜひ早めに精神科や心療内科(あるいはまず内科や産業医でもよいので)に相談して、サポートを受けていただければと思います。ひきこもっているあなたは一人ぼっちではないです。大切な一人の人ですよ。




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